侍ジャパンの誇る韋駄天が、スピードで魅せた。

　日本代表のスーパーラウンド初戦はオーストラリアを相手に３－２の辛勝。ハイライトは２－１で１点を追う７回だった。先頭打者の吉田正尚（オリックス）がヒットで出塁すると、すかさず周東佑京（ソフトバンク）が代走で登場する。 「隙のあるピッチャーも多い」と研究していた相手の投手からニ盗、三盗を決めて好機を演出すると、源田壮亮（西武）のセーフティースクイズで同点のホームを踏んだ。

「バッターは源田さんで、内野安打もあると思った」

　バントで転がった打球は投手の前。サインプレーではなかったため、周東のスタートも抜群ではなかったが、トップスピードに乗ると、タッチにきたグラブを避けながらホームを陥れた。

　稲葉篤紀監督が「オーストラリアは変則投手が多い。なかなか点を取ることができない場面」と語った苦しい状況を、「あそこは絶対１点取らないといけない」と自慢の足で打開してみせた。

　この得点で追いつかれたオーストラリアのデビッド・ニルソン監督も「彼のスピードはワールドクラス。今大会の中でも群を抜いている」と認める。

「今日みたいな仕事ができれば一番だと思いますし、そのために呼ばれていると思うので。気持ちもしっかり持って、いつもどおりプレーしたいですね」（周東）

　競った展開でこそ、その持ち味が光る。　

構成●スラッガー編集部