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侍ジャパン

劇的勝利を呼び込んだ岸孝之。08年日本シリーズを思い出す快投劇【プレミア12】

氏原英明

2019.11.12

大一番で完璧なピッチング。岸がターニングポイントとなった。写真:金子拓弥(THE DIGEST写真部)

大一番で完璧なピッチング。岸がターニングポイントとなった。写真:金子拓弥(THE DIGEST写真部)

 2008年の日本シリーズを彷彿とさせた。

 11日に行われたプレミア12のオーストラリア戦、3番手でマウンドに上がった岸孝之(楽天)が、侍ジャパンを勝利に導く快投を見せた。6、7回の2イニングを1安打無失点に抑え、流れを呼び込んだ。

「昨日から中(リリーフ)で行くことは言われていて、しっかり準備をしていました。田口(麗斗/巨人)が5回に行った時点で、6回からの2イニングということでした。その時のベストを出そうと思って、しっかり準備はしているので、今日もリズムよくいって、抑えたらいい流れで攻撃がいけるんじゃないかなと意識していきました」

 試合は1点ビハインドの展開が長く続いたが、5回に田口が相手の攻撃を止めた。そして流れをいい方向に持って行ったのは、岸のリズムのある投球だった。ストレート、カットボール、カーブ、チェンジアップをうまく散りばめて相手打線に的を絞らせなかった。

 試合は、周東右京(ソフトバンク)、源田壮亮(西武)らによる走力での同点劇にフォーカスされているが、あの攻撃が岸の快投の後に生まれたことからも分かるように、34歳右腕の投球はチームを勝利に導くものだった。

 そんな岸の躍動を見ながら思い出したのが、2008年の西武対巨人の日本シリーズだ。

 当時西武に在籍していた岸は、第4戦に投げて日本シリーズ初登板初完封勝利を挙げ、王手をかけられた第6戦では中2日でリリーフ登板。5.2回を無失点に抑えて勝利投手に輝いた。西武は続く第7戦も勝利して逆転優勝を飾り、岸はシリーズMVPに輝いている。

 試合の劣勢、シリーズの劣勢をすべて跳ね返した快投劇だった。
 
 今大会の岸は本来、エース格として君臨するはずだった。
 しかし、沖縄合宿中に体調を崩し、先発ローテーションから外れていた。オープニングラウンドの第3戦(台湾)に登板して1イニングをしっかりと抑えていたものの、不調の山口俊(巨人)に代わって先発することはなく、この日は有事に備えていた。

「流れを変えられたかは分からないですけど、結果的に相手の攻撃をゼロに抑えられたのは良かったかなと思います」

 雨上がりで肌寒かった千葉を沸かせた岸の投球は、エースの復活を証明したものだった。そして、チームのピンチを救う、08年日本シリーズを思わせる大仕事。今回のプレミア12でも、岸が大きなキーマンになる。そんな予感を漂わせている。

取材・文●氏原英明(ベースボールジャーナリスト)

【著者プロフィール】
うじはら・ひであき/1977年生まれ。日本のプロ・アマを取材するベースボールジャーナリスト。『スラッガー』をはじめ、数々のウェブ媒体などでも活躍を続ける。近著に『甲子園という病』(新潮社)、『メジャーをかなえた雄星ノート』(文藝春秋社)では監修を務めた。

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