大阪桐蔭の４年ぶり４度目の優勝で幕を閉じた今年のセンバツ高校野球。ドラフト候補という意味では目玉と言われるような逸材は不在だったが、それでもプロのスカウトを唸らせた選手は確かに存在していた。

　ここではセンバツで評価を上げたドラフト候補について、投手、野手それぞれ５人ずつピックアップして紹介したいと思う。今回は野手編だ。 

●松尾汐恩（大阪桐蔭・捕手） 
　攻守にわたってチームを牽引し、優勝に大きく貢献した。昨秋はヒザを痛めていた影響もあって守備面で精彩を欠くプレーが目立ったが、この春はスローイング、フットワークともに超高校級と言えるパフォーマンスを披露。2.00秒を切れば強肩と言われるイニング間のセカンド送球では度々1.8秒台を記録した。 

　打撃も最初の２試合は厳しいマークに苦しんだものの、準決勝では４安打、決勝でもホームランを放つなど、さすがの活躍を見せている。それほど身体が大きいわけではないが、リストの強さは抜群で長打力も申し分ない。明治神宮大会に続いて決勝で一発を放つなど、大舞台での強さも魅力だ。貴重な攻撃型捕手として、今後も高い注目を集めそうだ。 
  ●海老根優大（大阪桐蔭・外野手） 
　４試合で８安打を放ち、２本塁打を含む４本が長打と中軸として申し分ない活躍だった。たくましい体格を生かしたフルスイングは迫力十分で、長打力は高校生トップクラス。昨秋までは確実性が課題だったが、１回戦ではチャンスの場面でセンターから右方向へ軽打してタイムリーを放つなど、ヒットゾーンも広がった印象を受けた。 

　センター守備での強肩はプロでも上位のレベルで、大型だが脚力も申し分ない。昨年のチームでセンターを守っていた池田陵真（オリックス）と比べて完成度は劣るものの、選手としてのスケールは上回っているように見える。体格的にもしっかりしているだけに、早くからプロで鍛えてもらいたい素材である。 

●金田優太（浦和学院・遊撃手） 
　４試合連続で複数安打を記録し、そのうち３試合が３安打猛打賞の大活躍で一気に評価を上げた。181センチの大型ショートだが、タイミングをとる動きは小さく、無駄なく身体の近くから鋭く振り出ている。長くボールを見られ、広角に強く打ち分ける打撃技術は高校生ではトップクラスだ。また11安打中5本が長打で、２回戦の和歌山東戦では打った瞬間それと分かるホームランも放つなど長打力も申し分ない。 

　ショートの守備はフットワーク、グラブさばきともにまだまだという印象だが、投手としても140キロ近いスピードをマークするなど肩の強さがあるのは魅力だ。強打のショートとして今後も注目してもらいたい選手である。 

【動画】優勝を手繰り寄せた松尾汐恩の豪快弾がこれだ！

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