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プロ注目打者・佐々木麟太郎のセンバツで見えた課題。「自分はセンスがない」と語る2年生は清原和博らも味わった屈辱を糧にできるか

西尾典文

2022.04.04

1年時から本塁打を量産してきた佐々木。だが、初めての全国の舞台では、苦戦を余儀なくされた。写真:滝川敏之

 大阪桐蔭の圧倒的な強さが目立った今年の選抜高校野球だが、開幕前に最も注目を集めていたのが、花巻東の佐々木麟太郎だ。
【動画】神宮の秋空に舞い上がった圧巻弾! 佐々木麟太郎の豪快ホームランをチェック

 入学直後からホームランを量産し、新2年生ながら大会開幕前までに高校通算56本を記録。昨秋の明治神宮大会でも2本のホームランを放っていただけに豪快な一発への期待は大きかったが、チームは1回戦で敗れ、自身も4打数ノーヒット2三振と悔しい甲子園デビューとなった。

 昨年12月に両肩を手術し、冬の期間に十分な練習ができなかった影響はもちろんある。だが、大会前の練習試合ではホームランを量産していただけに抑え込まれた原因は他にもあるはずだ。改めて甲子園での5打席について詳細に見ていくと、以下のような内容となった。

●第1打席:空振り三振
1球目:ボール(真ん中高め132キロストレート)
2球目:空振り(真ん中高め140キロストレート)
3球目:空振り(内角高め142キロストレート)
4球目:ファウル(外角高め141キロストレート)
5球目:ボール(外角高め126キロチェンジアップ)
6球目:ファウル(内角高め136キロストレート)
7球目:ボール(真ん中高め124キロスライダー)
8球目:空振り(真ん中高め140キロストレート)

●第2打席:空振り三振
1球目:ボール(真ん中高め133キロストレート)
2球目:空振り(真ん中高め139キロストレート)
3球目:空振り(内角高め135キロストレート)
4球目:空振り(外角高め139キロストレート)

●第3打席:サードフライ
1球目:見逃しストライク(真ん中低め144キロストレート)
2球目:空振り(内角高め143キロストレート)
3球目:ボール(真ん中低め144キロストレート)
4球目:サードフライ(内角低め145キロストレート)

●第4打席:ファーストゴロ
1球目:見逃しストライク(外角真ん中109キロスライダー)
2球目:ボール(外角高めスローカーブ・球速表示なし)
3球目:空振り(真ん中高め142キロストレート)
4球目:ファーストゴロ(真ん中低め143キロストレート)

●第5打席:死球
1球目:ファウル(真ん中131キロストレート)
2球目:ボール(外角高め135キロストレート)
3球目:死球(内角高め138キロストレート)

 市立和歌山の先発だった米田天翼が佐々木に投じた23球のうち実に19球がストレートで、8回の空振りも全てストレートに対してのものとなっている。この結果は、相手エースが投じた140キロを超える速いボールに対応できていなかった事実を如実に物語るものだと言える。

 とくに大きかったのがいずれも空振り三振に倒れた最初の2打席だ。第1打席は米田が制球の精彩を欠き、12球全てが高めのボールだった。だが、それを1球たりとも佐々木は前に打ち返すことすらできなかった。ここにこそ、佐々木の現在の課題が凝縮されている。

 彼のバッティングはバットを揺らして構え、身体を大きく沈み込ませてトップの形を作り、比較的低い位置から振り出していくスタイルである。ボールを高く打ち上げる点に関しては理にかなっているとも言えるが、左肩が下がり気味になるためどうしてもヘッドが出てくるのが遅れるのだ。
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