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「三振率の改善」に「4シームの精度向上」――大谷翔平、“2022年飛躍の課題”をMLB解説者が徹底解剖!<SLUGGER>

SLUGGER編集部

2022.04.07

本塁打はリーグ3位、OPSは2位……。ほぼ完璧に見えた大谷の打撃にも課題がなかったわけではない。(C)Getty Images

 2021年に大谷翔平(エンジェルス)はまさに歴史的なシーズンを送った。開幕当初から本格的な二刀流として躍動し、ア・リーグMVPにも満票で選出された。

 史上有数の活躍だったことに疑いはないが、問題がなかったわけではない。大谷がさらに偉大な選手となるために、克服すべき課題は一体何なのか。ひとつずつ順番に見ていこう。

 まず、挙げられるのが「確実性の低さ」だ。打率.257は、歴代MVP(野手)のなかで史上最低。さらに、189三振はリーグワースト4位で、30%近い三振率が低打率の要因になっていた。

 大谷のようにフルスイングで長打を狙うスタイルであれば、打率が犠牲になるのはある程度仕方がないが、それでも真の一流打者は確実性とパワーを両立している。MVP争いのライバルだったブラディミール・ゲレーロJr.(ブルージェイズ)は打率.311で48本塁打を放っており、ナ・リーグMVPのブライス・ハーパー(フィリーズ)も打率.309&35本だった。2年連続MVPを狙う今季は、確実性の向上がより重要になってくる。

 そのために克服したい課題が、4シームに対する空振りの多さだ。彼の同球の空振り/スイング率は34.9%で、これはMLBワースト5位の数字(150打席以上)。ちなみにハーパーは27.3%。ゲレーロJr.は14.9%にとどめている。そのため、空振り率を改善させ、より高い確率でしっかり捉えられるようになれば、全体の打撃成績もさらに向上するはずだ。

 また、苦手なコースの投球の克服もポイントになってくるだろう。解説者の岩村明憲氏は、昨季の打率が低かった要因に「とくにマークがきつくなった後半戦でウイークポイントを執拗に攻められていた」ことを挙げている。昨季の大谷は、外角低めは打率.255、真ん中低めも.224と低めのボールを苦手にしていた。シーズンが進むにつれてその弱点が浮き彫りとなり、最終的にはストライクゾーンに投じられた全投球のうち、3割近くがこの2つのコース。ここで計37個も三振を喫している。

 とはいえ岩村氏は、この点について「打撃というのは経験を重ねていけば確実性は増していく」と述べている。実際、18年は打率.167と極端に苦手だった外角高めは、昨季は.286まで向上させるなど、苦手を苦としたまま放置しないのが大谷だ。昨季の経験を生かした改善に期待したい。
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投手・大谷の課題とは?