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プロ野球

【開幕1か月「MVP」と「逆MVP」|ソフトバンク】故障者続出の打線を救った三森がMVP。不動の守護神だった森はまさかの“無期限抹消”に<SLUGGER>

出野哲也

2022.04.26

開幕からセーブを稼ぎまくっていた森だったが、勤続疲労が祟ったか球速が下降。無期限二軍落ちの屈辱を味わっている。写真:塚本凛平(THE DIGEST)

開幕からセーブを稼ぎまくっていた森だったが、勤続疲労が祟ったか球速が下降。無期限二軍落ちの屈辱を味わっている。写真:塚本凛平(THE DIGEST)

 3月25日に開幕したプロ野球は早くも1か月が経過。長いペナントレースとはいえ、数十試合が行われる中で各チームの戦力図はもちろん、好調な選手、一方で調子が上がらない選手も出始めた。プロ野球12球団の「MVP」、「逆MVP」を振り返っていこう。今回はソフトバンクだ。※成績は4月24日時点

●MVP
三森大貴(二塁手)


 最初の5試合で3勝0敗、防御率0.95のエース千賀滉大も素晴らしいが、彼ほどの投手であれば驚くに当たらない。その点、三森は嬉しい誤算と言えるだろう。昨年もレギュラー二塁手の座をつかみかけてはいたが、周東佑京の不振及び故障で出場機会が増えていたのが正直なところ。守備・走塁はともかくOPS.585にとどまった打撃が課題だった。

 だが、今季は開幕から好調で、打率はリーグ5位の.303。プロ初本塁打も放つなど長打力も増し、23日の日本ハム戦では広い札幌ドームの右翼席にライナーで打ち込んだ。藤本博史監督はオープン戦の段階で「去年は逆方向にずっと打っていたけど、右にも引っ張って本塁打を打てている」と語っていて、それが開幕後も継続されている。

 12打点はチームトップ、OPSは.850と強打者レベルの数字。栗原陵矢がシーズン絶望大怪我を負い、柳田悠岐も故障、さらにはグラシアルやガルビスらの外国人勢も不振から抜け出せていない打線にあって、三森の成長はチームを救っている。

【動画】成長著しい三森大貴のプロ第1号がこれだ!
●逆MVP
森唯斗(救援投手)


 開幕から6連続セーブ、8試合連続無失点と最高のスタートを切ったように見えた。ところが、4月6日のオリックス戦で9試合目にして初失点と黒星を喫すると、12日のロッテ戦は3失点、さらに16日の楽天戦では西川遥輝に逆転2ランを浴びて3連敗。翌17日に登録を抹消された。

 中継ぎへ配置転換しなかったのは、藤本監督の「前(のイニング)に行っても余計におかしくなる」との考えに基づくもので、早期復帰は求めず無期限調整に入っている。この時点でチームの16試合中11試合に投げていた登板過多も無関係ではないはずで、気の毒な面はある。

 とはいえ、球威は明らかに落ちていて、ストレートの平均球速は平均143キロ。これでは少しでもコントロールが甘くなると命取りになってしまう。昨年も故障で長期離脱するなど、長年投げまくっていた勤続疲労が影響しているのは間違いなく、復帰までには時間がかかるかもしれない。

文●出野哲也

【著者プロフィール】
いでの・てつや。1970年生まれ。『スラッガー』で「ダークサイドMLB――“裏歴史の主人公たち”」を連載中。NBA専門誌『ダンクシュート』にも寄稿。著書に『プロ野球 埋もれたMVPを発掘する本』『メジャー・リーグ球団史』(いずれも言視舎)。

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