プロ野球

根尾昂はなぜ投手抜擢されたのか? 中日の片岡篤史二軍監督が明かした舞台裏「甲子園で投げることでキッカケを」

THE DIGEST編集部

2022.05.10

高校時代から活躍を続けてきた甲子園で、投手として抜擢された根尾。1イニングを投げ切ることはなかったが、その起用法は球界を驚かせた。写真:産経新聞社

 竜の若き逸材が甲子園を沸かせる抜擢を受けた。5月8日に甲子園で行なわれたウエスタンリーグの阪神戦で、中日の根尾昂が"プロ初登板"を果たしたのだ。
【動画】甲子園がどよめく148キロ! 根尾のストレートをチェック

 予期せぬ事態に球場がざわついた。9回裏で中日が10対4と大差をつけていた場面だったが、マウンドに立ったのは、この日に「2番・ショート」で先発していた根尾だったからだ。いったいどんな投球を見せるのか。2760人の観衆が固唾を飲んで見守るなか、セットポジションから投げ込んだ根尾は、速球に時折スライダーを混ぜた配球で、阪神打線と対峙する。

 先頭の豊田寛をサードゴロに打ち取って幸先よくスタートした根尾は、続く高寺、中川勇斗、遠藤成の3連打で1点を返されてしまう。だが、ここで迎えた江越大賀を空振り三振に仕留めて降板。笑顔でショートに戻った。

 もっとも、根尾は大阪桐蔭高校時代に投手として活躍した実績があった。ゆえに投手としてのプレーが非現実的とはいえない。しかし、高寺に投じた4球目にマークした最速150キロのストレートなど、そのポテンシャルには改めて驚かされた。

 本人が「シンプルにうれしかった」と語った抜擢は、なぜなされたのか。試合後に自身の公式YouTubeチャンネル『片岡篤史チャンネル』を更新した中日の片岡篤史二軍監督は、6点差がついていた状況に加え、以前から一軍の立浪和義監督や落合英二ヘッドコーチ兼投手コーチと根尾の投手起用については「チャンスがあれば」と話し合っていたと明かした。

「もちろん根尾のコンディションが重要。例えばどこか痛いであるとか、気になるところがあれば(投手は)やらさない。でも、根尾に限らず二軍にいる選手、ファームにいる選手というのは才能と可能性ですよね。それを見つけてあげる、探してあげるのが私たちの仕事だと思う」

 また、片岡二軍監督は、「甲子園のマウンドで投げることによって何かキッカケというか、ピッチャーから見たバッターのタイミングという何か色んなことを思い出していいキッカケにしてくれたらいい」と力説。プロ入り4年で伸び悩んできた逸材を慮った。

 さらに「ピッチャーからショート、ショートからピッチャーということができれば、チームにとっても戦力になる」と語った52歳の熱血漢は、「もちろんショートが基本。でも、こういうことをさせながら、根尾の可能性というのも探っていきたい」と、この先も投手起用をしていく方針を示唆した。

構成●THE DIGEST編集部

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