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プロ野球

佐々木朗希ら若手のための投球制限は「過保護」なのか? メジャーでも話題となる“金の卵”を守る育成法の是非<SLUGGER>

出野哲也

2022.05.07

球界屈指のポテンシャルを持つ佐々木。その力を発揮しつつある20歳に対するロッテの采配は世間でも大きな注目を集めた。写真:塚本凜平(THE DIGEST写真部)

球界屈指のポテンシャルを持つ佐々木。その力を発揮しつつある20歳に対するロッテの采配は世間でも大きな注目を集めた。写真:塚本凜平(THE DIGEST写真部)

 4月のプロ野球で最大の話題は佐々木朗希(ロッテ)だった。

 10日のオリックス戦では、プロ野球新の13者連続奪三振を含むタイ記録の1試合19三振を奪い、28年ぶりの完全試合を達成。7日後の日本ハム戦でも8回までパーフェクトを続けた。

 その試合では、ロッテの井口資仁監督の決断が世間の注目を集めた。2試合連続完全試合という前人未到の大記録が継続中であるにもかかわらず、102球を投じていた佐々木を降板させたのだ。

 この決断は概ね好意的に受け止められた。佐々木はプロ1年目に実戦登板が一度もなく、一軍デビューを果たした昨年も、ほとんど10日以上の間隔を空けて起用されていた。いかに大記録の達成が迫っていようとも、まだ発展途上の逸材を慎重に育成し続ける。そんなマリーンズの方針は、称賛の的になった。

 過去には、才能にあふれた数々の若手投手が酷使で潰されてきた。古くは権藤博に尾崎行雄、比較的最近でも伊藤智仁がそうだ。先発とリリーフが完全に分業された1990年代にあっても、伊藤はルーキーイヤーに1試合193球などという、今思えば常軌を逸した球数を投げさせられ、わずか半年でパンクしてしまった。

 多くの有望投手を襲った“悲劇”から得た反省材料に加え、先発投手は100球前後で降板させるメジャーリーグのスタイルが広く知られた影響もあって、今ではロッテのように若い投手に無理をさせない育成法が標準化した。佐々木と同世代の奥川恭伸(ヤクルト)も、昨年は中10日前後を保って登板することが多かった。

 もっとも、アメリカでは80年代後半頃には「10代のうちは年間200イニングを投げるのは望ましくなく、1試合の対戦打者数も28.5人以下に抑えた方がいい」という指導法が提唱されてきた。

 21世紀に入ると、これがさらに推進された。一般的にも「25歳以下で前年より30イニング以上多く投げると故障や不振の原因になる」という概念が広まり、多くのメジャー球団がこれに則って指導と育成にあたるようになった。

 しかしながら、若手投手を守ろうとする風潮に対して、「今の若い投手たちは過保護になっているのではないか」との意見もなくはない。メジャーの現役投手からもそうした声は上がっている。

 これまでサイ・ヤング賞を3度も手にした大投手マックス・シャーザー(ニューヨーク・メッツ)も、マイナーリーグより多投を強いられる大学野球での経験から「今の育成法が間違っているとは言わない。でも、中6日で120~130球投げた方が投手は多くのことを学べるんじゃないか。1ヵ月に一度くらいは、そのくらいの球数を投げたっていいと思う」と発言している。

 メジャーでは中4日での先発が基本なので、100球前後で降ろすという理屈が通る。一方、中6日が一般的な日本で、同じように100球で降板するのは休ませすぎだと言われても仕方ない。

 17日の日本ハム戦での佐々木の降板後にも「(続投させたら)なんで怪我をする前提なのか」(岩本勉)、「過保護に育てても長持ちする保証はない」(米田哲也)など疑問視する声は上がっていた。米田に至っては「これでは、佐々木はメジャーに行っても中4日で投げられない」とも言い放ったほどだ。
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