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11歳で学校中退、MLB史上最年少で100セーブ到達もDV事件で転落…ロッテ加入が決定的なオスーナの劇的すぎる半生<SLUGGER>

SLUGGER編集部

2022.06.01

18年、DV事件で裁判に出廷した時のオスーナ。翌年セーブ王に輝いたが、イメージは大きく悪化してしまった。(C)Getty Images

 メジャー通算155セーブを挙げ、2019年にはセーブ王にも輝いたロベルト・オスーナのロッテ入団合意が報じられている。地元メキシコではすでに「入団決定」と報じているメディアもあり、新たな大物助っ人が来日することはどうやら間違いなさそうだ。「大物助っ人」と言っても、まだ27歳。しかし、オスーナは普通の人の何倍も"濃い"人生を送っている。激動に満ちた彼の半生を振り返ってみよう。

 ロベルト・オスーナ・クインテロJr.は1995年2月7日、メキシコ西海岸のホアンホセリオスで生まれた。父はメキシカン・リーグで22年間も投げた元投手だが、オスーナの子供時代は農業を営んでいた。生活は苦しく、オスーナ少年は11歳の時に学校をやめて家業を手伝うようになった。

 野菜を収穫する合間に父から野球を教わったオスーナは徐々に才能を発揮し、16歳の時にメキシカン・リーグでプロデビュー。直後に、契約金150万ドルという好条件でブルージェイズに入団した。
 マイナーの階段を順調に駆け上がり、15年に20歳でメジャーデビュー。その年、いきなりクローザーに定着して20セーブを挙げ、新人王投票では4位に入った。2年目は36セーブ、3年目の17年はリーグ2位の39セーブを挙げてオールスターにも出場するなど、オスーナは若くして球界屈指のクローザーとして台頭する。18年4月10日にはフランシスコ・ロドリゲスを抜いてMLB史上最年少(23歳62日)で通算100セーブ到達という偉業を成し遂げた。

 だが、それから1ヵ月もしないうちにオスーナのキャリアは暗転してしまう。

 5月8日、当時交際していた恋人に暴力をふるったとして逮捕。MLB機構から75試合の出場停止処分を受けた。さらに、他の女性との間にできた2人の子供の養育費を支払っていないとして、母国メキシコで訴訟を起こされていたことも発覚。若き天才クローザーのイメージは、あっという間に失墜してしまった。

 出場停止期間中の18年7月末にアストロズへ移籍。19年には38セーブを挙げて初のタイトルを獲得したが、20年は右ヒジの故障で長期欠場を強いられ、オフにそのままアストロズを退団した。
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アストロズ退団後はどのチームからも声がかからず