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まさに難攻不落! QS率100%を誇る阪神・青柳晃洋の凄み。制球力はセ界トップの右腕に期待したい“村山越え”

THE DIGEST編集部

2022.06.05

昨年から飛躍のキッカケを掴み、エース級の働きを続けている青柳。そのブレのないピッチングは球界でも屈指だ。写真:金子拓弥 ※昨年撮影

 まさに"難攻不落"のエースとして、若きバッターたちの前に立ちふさがった。6月4日に甲子園で行なわれた日本ハム戦で、8回4安打無失点の好投を見せた青柳晃洋(阪神)だ。

 序盤からランナーを許したが、連打を許さなかった。4回には、1死無塁の場面で清宮幸太郎に二塁打を打たれて得点圏の走者を背負ったものの、野村佑希をセンターフライ、万波中正をショートライナーと、いずれも日本ハムの中軸を担う若きスラッガーたちを封じ込め、無失点で切り抜けた。

 結局、得点圏にランナーを置いたのは4回だけ。それ以降はテンポの良いピッチングでアウトカウントを増やしていき、8回118球の熱投を見せ、甲子園に詰めかけた虎党たちを大いに沸かせた。

 試合後に敵将の"ビッグボス"こと新庄剛志監督が「一番手も足も出なかった。塁出れないもん」と脱帽した快投。当の青柳は「何かやってくるんじゃないかと思っていたんですけど、意外と何もなかったです」と笑う余裕も見せた。

 そんな右腕の成績はまさにエースのそれだ。今季は新型コロナウイルス感染の影響で出遅れたものの、8登板で6勝(1敗)をマーク。防御率は0.98で、QS率(6イニング以上を投げ、自責点が3以内の割合)は脅威の100%と、チーム防御率リーグ2位(2.83)の阪神投手陣のなかにあっても、頭抜けた安定感を誇っているのだ。
 
 160キロの速球に、落差の大きい変化球――。いわゆる漫画やアニメに出てくるような特徴的なボールがあるわけではない。そんな青柳の生命線となっているのがブレない制球力だ。それは他でもない数字が如実に物語る。

 投手の制球力を表す場合に用いられる「K/BB」(奪三振と与四球の比率)という指標がある。通常3.50以上あれば優秀とされるのだが、今季の青柳はなんと6.88なのだ。セ・リーグ2位の遠藤淳志(広島)が4.63であることをふまえても、虎の背番号50がどれだけずば抜けているかが分かる。

 防御率2.48を記録した昨季からさらに進化した感がある青柳。戦後のプロ野球のシーズン最小防御率は奇しくも阪神のレジェンドである村山実が1970年に記録した0.98だ。まだシーズンの先は長いが、28歳が往年の名投手が作った大記録を塗り替えられるかは期待したいものである。

構成●THE DIGEST編集部

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