専門5誌オリジナル情報満載のスポーツ総合サイト

  • サッカーダイジェスト
  • WORLD SOCCER DIGEST
  • スマッシュ
  • DUNK SHOT
  • Slugger
MLB

かつてはメジャーリーガーの85%が服用も現在は禁止に。新庄ビッグボスが使用していたと報道の薬物グリーニーって何?<SLUGGER>

SLUGGER編集部

2022.06.09

新庄がグリーニーを使用していたのが仮に事実だとしても、当時の規定では日米ともに禁止ではなかった。 写真:産経新聞社

新庄がグリーニーを使用していたのが仮に事実だとしても、当時の規定では日米ともに禁止ではなかった。 写真:産経新聞社

“ビッグボス”こと日本ハムの新庄剛志監督が、現役時代の2006年に「グリーニー」と呼ばれる興奮剤を使っていたと一部で報道がなされている。事の真偽はさておき、「グリーニー」とは一体どんなものなのだろうか。

「グリーニー」は経口服用する緑色のカプセル錠で、集中力が増すとともに、一時的に身体能力が向上する効果があるとされ、第二次大戦中はパイロットの疲労抑制剤としても使用されていた。成分の近いアンフェタミンは覚せい剤取締法の規制対象とされているが、グリーニーは現在、医薬品でも覚せい剤でもない「未承認薬品」にとどまっている。

 かつて、メジャーリーグでは「グリーニー」が盛んに使われていた。第二次大戦に参加した選手たちが軍隊から持ち帰って広まったとの説もある。ヤンキースなどでプレーした投手のジム・バウトンが1970年に発表した暴露本『Ball Four』(邦題『ボール・フォア 大リーグ衝撃の内幕』)では、「レッドソックスの主力選手のほとんどがグリーニーを使用している」との記述がある。また、ある研究ではメジャーリーガー全体の実に85%がグリーニーを服用していたとされている。

 通算755号本塁打を放ち、人格者としても知られたハンク・アーロンも服用していたことで有名で、当時のメジャーリーガーたちにとっては長く過酷なシーズンを乗り切るためのエナジードリンクのようなものだったのだ。
 
 日本にも外国人選手によって持ち込まれ、これまでにも何人か使用を告白した選手がいる。16年に覚せい剤取締法違反で有罪判決を受けた清原和博は、その際にグリーニーの使用を告白。「最初は外国人選手にすすめられて使っていた」と語っていた。

 また、清原の薬物使用が発覚した際に暴露本を発表して話題となった元投手の野村貴仁もグリーニー使用者で、特に周囲に隠すこともなく公然と使用していたという。野村は現役時代に、やはり助っ人を通じてグリーニーを入手していた。

 ただし、注意しておきたいのは、ここに列記した選手たちも、そして新庄も、ルール違反を犯していたわけではないということだ。グリーニーが禁止されたのは、MLBでは06年、NPBでは07年のことだ。

 新庄が陽性反応を示したとされる06年開幕前の薬物検査にしても、罰則規定を設けない試験的なものだった。少なくともこの一件をもって、新庄に過剰にダーティなイメージを抱くのは不適当だろう。

構成●SLUGGER編集部
 

RECOMMENDオススメ情報

MAGAZINE雑誌最新号