いよいよ現地時間8月2日迫ったトレード・デッドラインに向けて、大型移動が乱発している。1日には球界を代表する守護神ジョシュ・ヘイダーがミルウォーキー・ブルワーズからサンディエゴ・パドレスへ移籍。また、ロサンゼルス・エンジェルスは大谷翔平を今夏に放出しない見込みというニュースも大きな話題を呼んだ。そんななか、“メジャーらしい”放出劇があった。
ボストン・レッドソックスが長年正捕手を務めていたクリスチャン・バスケスをヒューストン・アストロズへ放出した。現在ア・リーグ東地区5位とはいえ、51勝52敗という数字はまだまだプレーオフ圏内と言えるものの、地区内のパワーバランスや契約状況を鑑みて、他の主力選手も放出する可能性が高くなっている。
好守が魅力のバスケスは近年、打撃面でも成長。2019年には23本塁打を放ち、今季も打率.282、8本塁打をマーク。世界一を狙うアストロズは捕手の攻撃力が弱かっただけに、いいグレードアップになったと言える。もっとも、今夏のトレード市場においてバスケスが大物だったか、と言われればそうではない。しかし、彼の移籍劇はなかなか日本では信じられないものだった。
この日、レッドソックスは敵地でアストロズ戦が予定されていて、バスケスは一転して“敵”チームへと放出された格好なのだ。しかも、移籍の知らせを受けたのは打撃練習。「これもまぁビジネスだよ、ビジネス」と気丈に振舞っていたものの、いきなり相手チームへと籍を移し、クラブハウスも反対側へ移動するというのは心理的にもなかなか難しいところがあっただろう。
急転直下のトレードというのは、メジャーでは少なくないケースだが、ある意味でバスケス以上に“サプライズ”だったのが ハンター・ペンスの放出劇だ。
2011年夏のトレード市場で動向が注目されていたのが、アストロズで強打の外野手として活躍していたペンスだった。この年、2度目のオールスターに出場するなど好調だったペンスだが、チームはナ・リーグ(当時)中地区ワーストと低迷。戦力図を変える男として市場を賑わしていた男は、7月29日にフィラデルフィア・フィリーズへのトレードが決定した。
そしてなんと、この移籍が決まったのは試合中(!)。5回表の守備を終えると、ペンスは外野からダグアウトに向かい、チームメイトと握手やハグを交わして球場を後にしたのだった。この時、報道陣の取材に応じたペンスの言葉は、トレードされることの“価値”を端的に表現している。
「メジャーリーガーの誰もがペナントレースに勝ちたいと思ってるし、ワールドシリーズに出場したいと思っている。だから、僕は強豪チームへ移籍することができて本当に運が良かったよ。どうにかあの舞台(ワールドシリーズ)に行きたいね」
自身がいくら活躍したとしても、チームの勝利に直結しないと“消化不良”になる――ということだろう。ある意味、大谷もペンスとは近い立場にあるなか、果たして心中はいかほどだろうか。今後の動きにも注目したい。
構成●THE DIGEST編集部
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自身がいくら活躍したとしても、チームの勝利に直結しないと“消化不良”になる――ということだろう。ある意味、大谷もペンスとは近い立場にあるなか、果たして心中はいかほどだろうか。今後の動きにも注目したい。
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