いよいよ開幕した第104回全国高校野球選手権大会。大会4日目に登場したプロ注目の選手たちの活躍ぶりを振り返る。
●山浅龍之介(聖光学院3年・捕手):4打席3打数1安打1四球
今年の東北を代表するキャッチャー。センバツでも初戦で敗れながら存在感を示したが、春から夏にかけて攻守ともに大きくレベルアップした印象を受ける。2.00秒を切れば強肩と言われるイニング間のセカンド送球は1.8秒台を連発し、最速は1.81秒をマーク。これはここまで登場した全捕手の中でもナンバーワンの数字である。捕球から送球までの動きが速く、体の近くで縦に腕が振れるためコントロールも安定している。
バッティングもヒットは1本に終わったが、第3打席のライトフライは風がなければスタンドまで届きそうな大飛球で、第4打席は変化球をしっかり見極めて四球も選んだ。スローイングと同様に無駄な動きがなく、振り出しの鋭さも目立つ。捕手としての総合力は今大会でも指折りの存在となりそうだ。
●森谷大誠(札幌大谷3年・投手):8回1/3 被安打9 3失点(自責点2) 3奪三振 5四死球
最速148キロと評判だった本格派サウスポー。立ち上がりは力みが目立ち、連続四球でピンチを招いて犠牲フライで先制を許すなど3回までに2点を失い、味方が同点に追いついた9回裏も踏ん張り切れずにサヨナラ負けとなったが、随所に良さは見せた。
172㎝と上背はないものの、たくましい体格で下半身の強さが目立つ。この日の最速は143キロにとどまったが、指にかかった時のストレートは勢いがあり、スライダー、シンカーも時折、目を見張るようなボールがあった。全体の精度はこれからで、まだアバウトな面は多いが、馬力を生かしたまま上手くまとまりが出てくれば今後が楽しみな投手である。
●福谷宇楽(社3年・遊撃手):5打席5打数2安打3打点
兵庫大会では打率.520をマークした走攻守三拍子揃ったショートストップ。1回の第1打席でライト前への先制タイムリーを放つと、2回にもセンター前に弾き返す2点タイムリーを放ち、3番打者としての役割を見事に果たしてみせた。
守備でも度々見事なプレーを披露。特に素晴らしかったのが、1死一塁で迎えた6回の場面だ。二遊間への速い打球に鋭い反応で追いつくと、そのまま流れるようなフットワークで自らベースを踏み、一塁へも素早い送球で併殺を完成してみせたのだ。
少し右へ打つ意識が強すぎるのか、スウィングが窮屈になることがあり、守備では上半身の力に頼ったスローイングになってしまうことがあるのは課題だが、攻守ともに高校生としては上位であることは間違いない。大学でしっかりスケールアップすれば、将来のプロ入りも十分に期待できるだろう。
文●西尾典文
【著者プロフィール】
にしお・のりふみ。1979年、愛知県生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。アマチュア野球を中心に年間400試合以上を取材。2017年からはスカイAのドラフト中継で解説も務め、noteでの「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも多くの選手やデータを発信している。
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今年の東北を代表するキャッチャー。センバツでも初戦で敗れながら存在感を示したが、春から夏にかけて攻守ともに大きくレベルアップした印象を受ける。2.00秒を切れば強肩と言われるイニング間のセカンド送球は1.8秒台を連発し、最速は1.81秒をマーク。これはここまで登場した全捕手の中でもナンバーワンの数字である。捕球から送球までの動きが速く、体の近くで縦に腕が振れるためコントロールも安定している。
バッティングもヒットは1本に終わったが、第3打席のライトフライは風がなければスタンドまで届きそうな大飛球で、第4打席は変化球をしっかり見極めて四球も選んだ。スローイングと同様に無駄な動きがなく、振り出しの鋭さも目立つ。捕手としての総合力は今大会でも指折りの存在となりそうだ。
●森谷大誠(札幌大谷3年・投手):8回1/3 被安打9 3失点(自責点2) 3奪三振 5四死球
最速148キロと評判だった本格派サウスポー。立ち上がりは力みが目立ち、連続四球でピンチを招いて犠牲フライで先制を許すなど3回までに2点を失い、味方が同点に追いついた9回裏も踏ん張り切れずにサヨナラ負けとなったが、随所に良さは見せた。
172㎝と上背はないものの、たくましい体格で下半身の強さが目立つ。この日の最速は143キロにとどまったが、指にかかった時のストレートは勢いがあり、スライダー、シンカーも時折、目を見張るようなボールがあった。全体の精度はこれからで、まだアバウトな面は多いが、馬力を生かしたまま上手くまとまりが出てくれば今後が楽しみな投手である。
●福谷宇楽(社3年・遊撃手):5打席5打数2安打3打点
兵庫大会では打率.520をマークした走攻守三拍子揃ったショートストップ。1回の第1打席でライト前への先制タイムリーを放つと、2回にもセンター前に弾き返す2点タイムリーを放ち、3番打者としての役割を見事に果たしてみせた。
守備でも度々見事なプレーを披露。特に素晴らしかったのが、1死一塁で迎えた6回の場面だ。二遊間への速い打球に鋭い反応で追いつくと、そのまま流れるようなフットワークで自らベースを踏み、一塁へも素早い送球で併殺を完成してみせたのだ。
少し右へ打つ意識が強すぎるのか、スウィングが窮屈になることがあり、守備では上半身の力に頼ったスローイングになってしまうことがあるのは課題だが、攻守ともに高校生としては上位であることは間違いない。大学でしっかりスケールアップすれば、将来のプロ入りも十分に期待できるだろう。
文●西尾典文
【著者プロフィール】
にしお・のりふみ。1979年、愛知県生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。アマチュア野球を中心に年間400試合以上を取材。2017年からはスカイAのドラフト中継で解説も務め、noteでの「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも多くの選手やデータを発信している。
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