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「野球の神様」ルースに並ぶのはいかに非現実的なのか。大谷翔平がやってのけた104年ぶり快挙は何が凄いのか?

THE DIGEST編集部

2022.08.10

もはや数少ない記録からでしか活躍を知れないルース(左)。そんな偉人の大記録を大谷(右)は呼び覚ましたのである。(C)Getty Images

もはや数少ない記録からでしか活躍を知れないルース(左)。そんな偉人の大記録を大谷(右)は呼び覚ましたのである。(C)Getty Images

 ベーブ・ルース。野球に関心を抱く人であれば、誰もが知る偉人だ。ただ、そのプレーを生で見ていた人はほとんどいない。その活躍は、数多に作られた伝記本、あるいは細切れになったわずかな映像からでしか知り得ないのだ。彼が「野球の神」と称される理由の一端はそこにもあるとも言える。

 伝記本になるほどの偉人で、文字通りの伝説的な選手。だからこそ、大谷翔平(ロサンゼルス・エンジェルス)がルースに肩を並べたという事実は「アンリアル(非現実的)」(米データ会社『Codify』)と言われるのだろう。

 現地時間8月9日に敵地で行なわれたオークランド・アスレティックス戦に、「2番・DH兼投手」として先発した大谷翔平(ロサンゼルス・エンジェルス)は、今季10勝目をマーク。ルースが1918年に記録して以来となる「シーズン2桁勝利&2桁本塁打」を達成したのである。

 あの“野球の神”に並ぶ男が出た。それはにわかに信じがたい出来事だ。なにせ、ルースが「シーズン2桁勝利&2桁本塁打」をやってのけた1918年は、世界は第一次世界大戦下にあり、スペイン風邪が世界的に流行していたという時代だ(これに罹って欠場したルースに死亡説も流れていたほどだ)。そこから104年もの間、数多のスタープレーヤーたちがそれを達成できずにいたのである。

 もっとも、大谷も9勝を挙げてから自己ワーストの3連敗と足踏みが続いた。そして、迎えた、このアスレティックス戦も決して楽なマウンドではなかった。3回には、ラモン・ローレアーノのピッチャーライナーが左足のすね部分を直撃し、思わず苦悶の表情を浮かべるほどのアクシデントに見舞われた。

 それでも「しんどいかなとは思いましたけど集中して投げられた」という本人は、6回を無失点。さらに打っても7回の第3打席に25号ホームランをマークして二刀流戦士としての本領を発揮した。
 
 無論、大谷の快挙達成には当然現地のメディアや解説者たちも、さっそく驚きと賛辞を口にしている。おそらく彼らも「ルースに並ぶ男が出た」という“アンリアルな現実”を受け止めきれずにいるのだろう。そんな識者たちのなかで興味深い言葉を残しているのが、元エンジェルスの投手で、地元放送局『Bally Sports West』の中継解説を務めているマーク・グビサ氏だった。

 ここ数年、同局の解説者として大谷の一挙手一投足を追ってきた同氏は偉業達成に、こう言葉を寄せている。

「我々は毎日のようにショウヘイを見ている。だからって彼のやっていることに慣れてはいけない。ショウヘイは毎日信じられないようなことをしているんだ」

 大谷本人にとっては、今回の金字塔も通過点に過ぎない。かねてから米球界での殿堂入りを目標に掲げてきた偉才が見据える終着点はもっと先にある。ここから、彼がどれだけの伝説を作るのか。いずれルースのように語り継がれるであろう歴史的瞬間をしっかりと目に焼き付けたい。

構成●THE DIGEST編集部

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