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MLB

GMから公式記録員へ転身した“生粋の野球人”——元マリナーズGMのベースボール愛

宇根夏樹

2019.11.22

約7年近くにわたってマリナーズのGMを務めたズレンシック。12年7月にはイチローをヤンキースへトレードした。(C)Getty Images

約7年近くにわたってマリナーズのGMを務めたズレンシック。12年7月にはイチローをヤンキースへトレードした。(C)Getty Images

 イチローがレギュラーだった当時からマリナーズを応援している人は、ジャック・ズレンシックの名前、あるい“ジャックZ”のニックネームを覚えているかもしれない。『刑事コジャック』シリーズで知られる往年の名俳優テリー・サバラス――うまいコーヒーを飲んでいるのは誰だ――を思わせる、スキンヘッドのいかついあの人だ。2008年10月から15年8月まで、ズレンシックは約7年にわたってマリナーズのGMを務めた。現GMのジェリー・ディポートは、ズレンシックの後任に当たる。

 現在68歳のズレンシックは、昨年から元GMとしては意外な仕事に就いている。パイレーツの本拠地PNCパークで、オフィシャル・スコアラー(公式記録員)を務めているのだ。試合に不可欠な存在とはいえ、公式記録員はGMと違い、表舞台に出ることはまずない裏方だ。推察するに、サラリーもGM時代と比べたら10分の1以下に下がっているのではないか。
 
 ズレンシックの球歴は長い。マイナーで二塁を守っていたのは、今から40年以上も前の1973~74年だ。その後は大学と高校のコーチ(ベースボールとアメリカン・フットボール)を経てスカウトとなり、いくつかの球団でスカウト部長やGM補佐などを歴任した。ブルワーズ時代の07年には若手育成の手腕を評価され、GM以外では初めて『ベースボール・アメリカ』のエグゼクティブ・オブ・ジ・イヤーに選出された。翌年、ブルワーズは26年ぶりのポストシーズン進出を果たした。

 その年のオフにマリナーズGMに就任。初年度は前年から24勝も増やす85勝を挙げるなど健闘を見せた。だが、セイバーメトリクスが流行する時代にあって、自他共に認める「オールドスクール」のズレンシックは次第に居場所を失い、15年8月に解任されてしまった。
 

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