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高校野球

“王者”が“王者”であったがゆえの番狂わせ――大阪桐蔭が下関国際に敗れた理由<SLUGGER>

氏原英明

2022.08.19

チーム3度目の春夏連覇を目指しながら、準々決勝で涙を飲んだ大阪桐蔭。その敗因はどこにあったのか。写真:塚本凛平(THE DIGEST写真部)

チーム3度目の春夏連覇を目指しながら、準々決勝で涙を飲んだ大阪桐蔭。その敗因はどこにあったのか。写真:塚本凛平(THE DIGEST写真部)

 手元のストップウォッチは7秒を切るタイムを表示していた。

 第104回全国高校選手権大会、準々決勝第3試合。大阪桐蔭高対下関国際高の9回表、一死二、三塁からの逆転劇の場面だ。

 7秒を切ったのは、打者のバットにボールが当たってから打球がセンター前へ抜け、その返球が捕手のミットに届くまでのタイム。通常、二塁走者が生還するか否かは、7秒がデッドラインと言われている。そこを超えるか否かでセーフかアウトが決するとされる。この時、大阪桐蔭の守備陣は、それよりも短いタイムだったにもかかわらず生還を許したのだ。

 実はここに、大阪桐蔭敗退の理由が隠されている。
 
「選手たちは一生懸命、最後の最後までやってくれました。勝つということに関しては、監督がどのように選手を使って勝利に結びつけるかということだと思いますので、それができなかった監督の責任だと思っています」

 試合後、大阪桐蔭の西谷浩一監督はただ敗因を「自分の力不足」とだけ言い切った。

 では、西谷監督は何を誤ったのか。

 それはポジショニングだ。変化が見えたのは3回表の守備からだ。

 大阪桐蔭は3回表、1死三塁のピンチを迎えると、内野陣が前進守備を敷いた。だが実は、2回表1死二、三塁の場面では前進守備を敷かずに後ろを守っていたのだ。ともに1点リードの序盤、なぜポジショニングが変わったのか。
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