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プロ野球

復活ではなく“進化”だ。エース級の安定感を見せつける藤浪晋太郎が記録する「3.14」が示す成長ぶりとは?

THE DIGEST編集部

2022.08.28

力んで苦しむ場面はほとんどなく、安定した投球を見せ続けている藤浪。今のピッチングからは自信が溢れ出ている。写真:産経新聞社

力んで苦しむ場面はほとんどなく、安定した投球を見せ続けている藤浪。今のピッチングからは自信が溢れ出ている。写真:産経新聞社

 虎の剛腕が力を存分に見せつけている。

 8月27日にバンテリンドームで行なわれた中日戦で先発した藤浪晋太郎(阪神)は、7回(101球)を投げ、被安打5、7奪三振と好投。3回に阿部寿樹にタイムリーヒットを打たれて1点を失ったものの、大崩れせずに自身2連勝を飾った。

 終盤に入っても球威は衰えず、相手を力でねじ伏せた。チームが2点をリードして迎えた7回2死一塁の局面で、中日は代打の三好大倫を起用。ここで藤浪は全球ストレートの真っ向勝負に行く。初球に真ん中低め、そして2球目にインハイへそれぞれ152キロの直球を投じて追い込むと、最後はほぼど真ん中への153キロのストレートで空振り三振に切って取った。この時、マウンド上で叫んだ姿からは自信が感じ取れた。

 巨人と対峙した前回登板でも7回(108球)を投げ、被安打6、5奪三振と好投していた藤浪。一時は二軍落ちを経験した今季だったが、今月6日に一軍復帰を果たすと、そこからの4登板全てでクオリティースタート(先発投手が6イニング以上を投げ、自責点3以下)を達成。さらに1投球回あたり何人の走者を出したかを表す指標であるWHIPも1.18と、安定感はまさにエースのそれである。

 無論、そんな背番号19が見せつける快投にSNS上では「藤浪が復活した」という意見も散見した。だが、これにはいささか違和感を覚える。むしろ、今夏の藤浪は「進化した」という方が正しいからだ。
 
 それを物語るスタッツのひとつが、「K/BB」だ。これは与四球ひとつあたりの奪三振数を表す指標で、いわば投手の完成度の高さを物語るものでもある。

 今季の藤浪は「K/BB」が優秀の部類に位置付けられる3.14。これは彼のキャリアを振り返っても、ルーキーイヤー(2013年)に記録した2.86を上回る自己ベストなのである。

 近年は制球難に苦しんできた藤浪。マウンドに立つたびに彼は四死球で走者を出しては悪戦苦闘をしている感があった。それだけに今季、とりわけ夏場に見せている飛躍的な数値の向上は「復活」よりも「進化」と表現するのが正しいのではないか。

 中日戦後のヒーローインタビューでは、「チームもいい流れで試合ができていると思いますし、明日はルーキー森木なので、皆さんあたたかい声援で応援してあげて下さい」と虎党にはにかんだ。その余裕を感じさせる姿からも今の好調ぶりがうかがい知れた。

構成●THE DIGEST編集部

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