相手の若きエースとの緊張感のある投手戦で、偉才の真価が発揮された。

　現地時間８月27日に敵地で行なわれたトロント・ブルージェイズ戦に、大谷翔平（ロサンゼルス・エンジェルス）は、「３番・DH兼投手」で先発。７回（109球）を投げて、被安打２、９奪三振、無失点の好投。チームも２対０で接戦をモノにし、８月９日（現地時間）のオークランド・アスレティックス戦以来となる今季11勝目を挙げた。

　序盤から「投手・大谷」の安定感は抜群だった。初回こそ相手打線に粘られて28球を要したが、その後はほとんど球数を要さず。２回18球→３回16球→４回10球→５回12球→６回10球→７回15球と小気味よく投げていった。

　対する相手先発のアレック・マノーアも球界トッププロスペクトの実力を存分に発揮。「打者・大谷」を含めたエンジェルス打線は５回まで無失点に抑えられてしまう。ただ、６回にようやく打線が繋がると、１死一、三塁の好機で４番のルイス・レンヒーフォがレフトへタイムリーヒットを放って均衡を破ったのである。

　もっとも、この日に大谷に与えられた援護点はこの１点のみ。だが、今日に限ってはこの1点で十分だった。
  　相手の上位打線と対峙した６回裏はジョージ・スプリンガーをセカンドフライ、ブラディミール・ゲレーロJr.をサードゴロ、そしてアレハンドロ・カークを平凡なライトフライと危なげなく抑える。そして７回には１死から味方のエラーで出塁を許したが、好打者マット・チャップマンを空振り三振に仕留めると、続くライメル・タピアも難なくライトフライに打ち取った。

　終盤には１球ごとに「ウンッ」と唸りながら投球し、最速100マイル（約160.9キロ）を計測するなど、文字通り相手打線をねじ伏せた大谷。そんなエースらしい圧倒的な投球には、敵地の記者たちも賛辞を記している。

　米メディア『the Score』でブルージェイズの情報を発信しているブランドン・ワイル記者は「ショウヘイ・オオタニがいかにすごいかを、我々はまだ正しく理解していない」とツイートすれば、MLB公式サイトで番記者を務めるキーガン・マシソン氏は「オオタニは109球を投げ、７回を完封した。彼は注目されたマッチアップで期待を裏切らなかった」と絶賛した。

　２試合ぶりに白星を挙げ、自己ベストをまた一つ更新した大谷。その快投に対する反響はしばらく続きそうだ。

構成●THE DIGEST編集部

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