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MLB

ジャッジMVPの“論拠”だったWARも肉薄! 米驚嘆の「片手一本弾」で話題を呼んだ大谷翔平に追い風が吹いている

THE DIGEST編集部

2022.09.13

MVPレースで優位と見られていたジャッジ(右)に肉薄する大谷(左)。その混沌とした争いの行方は米球界を盛り上げている。(C)Getty Images

MVPレースで優位と見られていたジャッジ(右)に肉薄する大谷(左)。その混沌とした争いの行方は米球界を盛り上げている。(C)Getty Images

「下半身は崩されていた。そして身体も開いていたが、ショウヘイ・オオタニは手だけを残して片手でヒョイッとスタンドまで持っていった。なんということだ」

 これは大谷翔平(ロサンゼルス・エンジェルス)の打撃を目の当たりにした敵地の放送局『AT&T SportsNet』のジェフ・ブラム氏の言葉だ。数多の試合を見定めてきた同解説者をもってしても愕然としてしまうほどの一発だった。

 無理もない。なんせ彼は登板翌日の初打席で今季34本目の本塁打を放った。それも片手一本で。

 決して甘いボールではなかった。無死三塁のチャンスで打席に立った大谷は、相手先発ルイス・ガルシアにたった3球で追い込まれてしまっていた。そしてカウント1-2から投じられたボールも外角低めへのカーブで、背番号17の身体は大きく泳がされていた。

 だが、二刀流戦士はグッと腕を伸ばすと、右手一本でライトへ弾き返す。31度で打ち上げられた打球は「嘘だろ」というガルシアやアストロズファンの視線を受けながらライトスタンドの中段に着弾した。

 前日に12勝目をあげていた投手としての疲労を一切感じさせないハイパフォーマンス。“野球の本場”を驚かせたプレーぶりによって、以前から白熱していたアーロン・ジャッジ(ニューヨーク・ヤンキース)とのMVP争いは、より混沌としてきている。なぜならスタッツの比較がしにくくなってきたからだ。
 
 近年のMVPを決するうえで、投票権利を持つ記者たちがひとつの指標としてきた「WAR」(打撃、走塁、守備、投球を総合的に評価して選手の貢献度を表す)は、依然としてジャッジが8.7で両リーグトップに君臨はしている。しかし、大谷との差はわずか0.5。唯一無二の二刀流戦士も8点の大台に乗せてきている。

 これまで主にジャッジをMVPに推挙する人々は「WARは圧倒的に上だ」と熱弁を振るってきた。たしかにそうだった。しかし、差はわずかに0.5にまで縮まっている。MVPを断言できるだけの開きはないと言っていい。

 ではなにが“最も価値がある選手”を決めるのか。ずばり投票権を有する識者たちに「野球観を揺さぶるインパクトを残せたか」ではないだろうか。その点で見れば、現時点で間違いなく大谷に追い風が吹いている。史上初の「シーズン30本塁打&2桁勝利」など数多の金字塔を打ち立てている偉才はやはり頭抜けているように思えてならないのだ。

 もちろん、ジャッジが手にする可能性もある。仮にロジャー・マリスが打ち立てた年間61本塁打のア・リーグ記録を塗り替えれば、特大のインパクトになるのは間違いない。それはMVP争いを揺るがすに違いない。

 いずれにしても、両雄のハイレベルな争いはシーズンの最後の最後まで続きそうな気配だ。

構成●THE DIGEST編集部

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