2023年から、MLBではいくつかのルールに変更が加えられる。1つは極端な守備シフトの禁止。2つはピッチクロック導入による投球時の秒数制限、および牽制回数の制限。3つ目はベースのサイズの拡大である。これらのルールは、実際の試合にどのような影響を及ぼすのだろうか。
まずシフト禁止だが、投手が球を投げるまで内野手の守備位置は外野の芝より内側となる。また、二塁ベースを挟んで両側に2人ずつが守らなければならなくなる。近年のMLBでは引っ張り傾向の強い左打者に対して、内野手を二塁の右側に3人(極端な場合は4人)、右打者なら左側に3人を配置することが多かった。通常なら一・二塁間を抜けるような、左打者が強烈に引っ張った打球を、内野と外野の境目のあたりへ動いていた遊撃手がさばいて“ショートゴロ”とする光景もしばしば見られた。フライ打球が多い長距離砲が打席に入った際には、内野の1人を外野に回す4人外野シフトが敷かれるケースもあったが、来季からはこれも禁止される。
これにより、プルヒッターの安打は確実に増えるだろう。21年には、フレディ・フリーマン(投手ブレーブス/現ドジャース)は、シフトによって41本もヒットを損していた。シフトの逆に飛んでヒットになった打球も31本あったのだが、差し引き10安打を失い、シフトがなければ単純計算で打率は.300から.317にまで上がっていたことになる。フリーマン以外にも、マット・オルソン(ブレーブス)やヨルダン・アルバレス(アストロズ)、そして大谷翔平(エンジェルス)のように、日常的にシフトを敷かれている打者の打率は間違いなく向上するはずだ。
守備側から見ると、近年はシフトを敷くことを前提として、守備力より打力を優先して起用される二塁手も増えていた。守備範囲が狭くても、“補助”してくれる野手がもう一人いるからそれが可能だったのだ。しかし、来季以降は動きの悪い選手が二塁を守っていると、明らかにマイナスになる。以前のような好守の二塁手に復権のチャンスが生まれるわけだ。
ピッチクロック導入とベースの拡大は、どちらも機動力野球の復活を促すと考えられる。投手は無走者時に15秒以内、走者がいる際には20秒以内の投球が義務づけられ、違反時には1ボールとなる(打者も残り8秒時点までに打席に入っていないと、1ストライクを科せられる)。牽制は1打席につき3回目までに刺せなかった場合、ボークとして扱われる。これらはいずれもロブ・マンフレッド・コミッショナーがご執心の、試合時間短縮策の一環である。
まずシフト禁止だが、投手が球を投げるまで内野手の守備位置は外野の芝より内側となる。また、二塁ベースを挟んで両側に2人ずつが守らなければならなくなる。近年のMLBでは引っ張り傾向の強い左打者に対して、内野手を二塁の右側に3人(極端な場合は4人)、右打者なら左側に3人を配置することが多かった。通常なら一・二塁間を抜けるような、左打者が強烈に引っ張った打球を、内野と外野の境目のあたりへ動いていた遊撃手がさばいて“ショートゴロ”とする光景もしばしば見られた。フライ打球が多い長距離砲が打席に入った際には、内野の1人を外野に回す4人外野シフトが敷かれるケースもあったが、来季からはこれも禁止される。
これにより、プルヒッターの安打は確実に増えるだろう。21年には、フレディ・フリーマン(投手ブレーブス/現ドジャース)は、シフトによって41本もヒットを損していた。シフトの逆に飛んでヒットになった打球も31本あったのだが、差し引き10安打を失い、シフトがなければ単純計算で打率は.300から.317にまで上がっていたことになる。フリーマン以外にも、マット・オルソン(ブレーブス)やヨルダン・アルバレス(アストロズ)、そして大谷翔平(エンジェルス)のように、日常的にシフトを敷かれている打者の打率は間違いなく向上するはずだ。
守備側から見ると、近年はシフトを敷くことを前提として、守備力より打力を優先して起用される二塁手も増えていた。守備範囲が狭くても、“補助”してくれる野手がもう一人いるからそれが可能だったのだ。しかし、来季以降は動きの悪い選手が二塁を守っていると、明らかにマイナスになる。以前のような好守の二塁手に復権のチャンスが生まれるわけだ。
ピッチクロック導入とベースの拡大は、どちらも機動力野球の復活を促すと考えられる。投手は無走者時に15秒以内、走者がいる際には20秒以内の投球が義務づけられ、違反時には1ボールとなる(打者も残り8秒時点までに打席に入っていないと、1ストライクを科せられる)。牽制は1打席につき3回目までに刺せなかった場合、ボークとして扱われる。これらはいずれもロブ・マンフレッド・コミッショナーがご執心の、試合時間短縮策の一環である。