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プロ野球

【2022ドラフト展望:日本ハム】矢澤の1位指名公言で大谷翔平に続く二刀流の夢再び? 将来性に優れた高校生捕手も欲しい<SLUGGER>

出野哲也

2022.10.13

二刀流・矢澤の1位指名公言はいかにも日本ハムらしい選択。大谷の育成実績を考えても理に適っている? 写真:鈴木宗太朗

二刀流・矢澤の1位指名公言はいかにも日本ハムらしい選択。大谷の育成実績を考えても理に適っている? 写真:鈴木宗太朗

 10月20日に行なわれるプロ野球ドラフト会議。各チームの育成状況や弱点を踏まえた上で、「誰を指名するか」ではなく「誰を指名するべきか」という観点からドラフトを展望する。
【表】日本ハム ポジション別年齢分布

【指名方針】
将来性重視
※正確には「素材重視」で、必ずしも「将来性>即戦力」という意味ではない

【補強ポイント】
・その年「最高の素質」を持つ選手
・将来の正捕手候補
・リリーフ起用も視野に入れた即戦力投手

 日本ハムは毎年、ドラフトでは補強ポイントに関係なく「最も高く評価している者」に入札する。そんなチームが今年、一番の素材として評価したのは日体大の矢澤宏太だった。新庄剛志監督はプロでの二刀流に否定的な見方を示していたが、10月11日に入札の方針を公表した稲葉篤紀GMは前向きなようで、獲得に成功すればファイターズに大谷翔平(現エンジェルス)に続く新たな二刀流選手が誕生する。

 新庄監督はできるだけ即戦力を多く獲得して欲しいと希望しているが、その望みも叶うかどうかは分からない。例年、日本ハムのドラフトはフロントが完全に権限を握っているからだ。おそらくはこれまで通り、上位は素質重視の指名になるのではないだろうか。
 
 現時点での指名ポイントを挙げるなら、まずは高校生捕手だ。今季は宇佐見真吾に正捕手としての目処が立ったが、すでに30歳近く、選手層のバランス的にも高校生を取りたい。

 もし矢澤が重複して抽選に外れ、その時点で松尾汐恩(大阪桐蔭高)が指名されていなければ絶対に取りに行きたい。松尾が指名済み、もしくは再度の重複で抽選に外れたら、もう一つの補強ポイントでもある即戦力投手に方向転換。具体的には菊地吏久(専修大)、荘司康誠(立教大)、金村尚真(富士大)らが候補に挙がる。

 矢澤ないし松尾が1位で取れた場合、2位で即戦力投手を指名したいが、先述の候補は1位で消えている可能性もある。そこで浮上するのが、地元・北海道の速球派左腕である門別啓人(東海大札幌高)だ。期待値からすると若干高い順位にも感じるが、3位までは残ってなさそうだ。矢澤を外して1位・松尾、2位:門別と上位2人が高校生になった場合は、新庄監督の望みとは対極になるが仕方ない。

 このパターンの場合、即戦力タイプの投手は3位以下で確保することになる。臼井浩(東京ガス)は28歳の高齢だがプロ入り希望で、ファイターズのスカウトは「投球の完成度はトップレベル」とコメントしている。年齢的にそれほど上位で指名したくはないが、5位では残っていないかもしれず、4位が妥当か。

 逆に、2位までに即戦力投手が取れていれば、監督が獲得を希望していた加藤豪将(メッツ)を指名する可能性もある。こちらもすでに28歳だが、メジャー経験者という“格”を考えれば、04年のマイケル中村がそうだったように、4位以内で指名するのが妥当だろう。その上で、松尾が取れなかった場合は5位以降で高校生捕手の指名を目指すべきだ。

【理想の指名】
1位:矢澤宏太(投手兼外野手/日体大)
2位:門別啓人(投手/東海大札幌高)
4位:臼井浩(投手/東京ガス)または加藤豪将(内野手/メッツ)

文●出野哲也

【著者プロフィール】
いでの・てつや。1970年生まれ。『スラッガー』で「ダークサイドMLB――“裏歴史の主人公たち”」を連載中。NBA専門誌『ダンクシュート』にも寄稿。著書に『メジャー・リーグ球団史』『プロ野球ドラフト総検証1965-』(いずれも言視舎)。
 

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