10月20日に行なわれるプロ野球ドラフト会議。各チームの育成状況や弱点を踏まえた上で、「誰を指名するか」ではなく「誰を指名するべきか」という観点からドラフトを展望する。
【表】ヤクルト ポジション別年齢分布
【指名方針】
バランス重視
【補強ポイント】
・2年以内に一軍先発10登板が見込める先発投手
・長打力に優れた将来性のある外野手
・バットコントロールと出塁率に優れた内野手
2021年に続くセリーグ連覇を果たしたヤクルト。野手では三冠王に輝いた村上宗隆が圧倒的な存在感を示した一方、青木宣親のようなベテランから長岡秀樹ら若手までバランス良くタレントが揃い、チームOPSは12球団最高の.728を誇る。守備面でも中村悠平・山田哲人・長岡秀樹・塩見泰隆で構成されるセンターラインは強固で、投手を助けるシーンが目立った。ただ、40歳を超える青木と故障離脱の多いサンタナが両翼を守る外野陣は底上げが必要だ。
投手陣では、2019年以来となる規定投球回に到達した小川泰弘ら中堅どころが奮闘したが、先発防御率3.84はリーグ最下位。前年9勝を挙げた奥川恭伸の故障離脱が響く結果となった。楽しみな若手投手は多いが、故障させないための分散運用を継続していくためにもさらに厚みを持たせたい。チームの黄金期を確固たるものにするべく、バランス型の指名が望まれる。
補強ポイントで挙げた「2年以内に一軍先発10登板が見込める先発投手」と「長打力に優れた将来性のある外野手」を一人で叶える可能性を秘めたスターが今年のドラフト候補にはいる。矢澤宏太(日体大)だ。
ストレートの強さはもちろん、右打者へのチェンジアップ、左打者へのスライダーと外で勝負できる高い質の変化球を2球種持っている。3シーズン続けて先発としてリーグ戦を回っており、投手単体として見ても上位候補なのは間違いない。野手としては足の使えるアスリートタイプで、芯を食った時の飛距離も世代トップクラス。新たな神宮のスターとして十分すぎる資質を備えている。
先発投手では他に、大学日本代表にも選ばれた菊地吏玖(専修大)も獲得候補リストの筆頭格だ。怪我のリスクの少ない綺麗なフォームに、多彩な変化球を持つという点で小川の系譜に連なり、1年目からローテーションの一角に入るビジョンが見える。同様の理由から、日本選手権でやはり多彩な球種を披露した金村尚真(富士大)、都市対抗野球で緩急を使ったピッチングが印象的だった益田武尚(東京ガス)が挙げられる。
外野では20年に並木秀尊、21年に丸山和郁を指名しているが、長打力を備え、レギュラー級の資質を持つ外野手は年次関係なく獲得したい。矢澤同様に足も使えるアスリートタイプの古川雄大(佐伯鶴城高)、村上宗隆のような懐の深さを感じさせるフォームの三塚琉生(桐生第一高)は、左右で異なるがともに打球速度が非常に速いという共通点を持つ。
内野手では出塁率に優れた、いい意味でしつこいバッターを獲得したい。神宮球場を主戦場とする東京六大学から村松開人(明治大)と朝日晴人(慶応大)の2人の名前を挙げたい。ともに四死球の数が三振の数を大きく上回り、バットコントロールにも非常に長けている。スワローズの既存の野手とは打席アプローチの異なる選手を獲得し、攻撃パターンのバリエーションを増やしたいところだ。
矢澤というスターを軸に、投打でセンターラインを担える選手をバランス良く獲得してスワローズの黄金期を築いていく。そんなドラフトを期待したい。
【理想の指名】
1位:矢澤宏太(投手兼外野手/日体大)
2位:村松開人(二塁手/明治大)
3位:古川雄大(外野手/佐伯鶴城高)
文●シュバルベ
【著者プロフィール】
オリックス・バファローズと東京ヤクルトスワローズのファン。卒業してから足を運んだ東京六大学野球で東大の勝ちを見届け、アマチュア野球"沼"にも片足突っ込んでしまった野球好き。Twitter IDは「@love_uni31」。
【表】ヤクルト ポジション別年齢分布
【指名方針】
バランス重視
【補強ポイント】
・2年以内に一軍先発10登板が見込める先発投手
・長打力に優れた将来性のある外野手
・バットコントロールと出塁率に優れた内野手
2021年に続くセリーグ連覇を果たしたヤクルト。野手では三冠王に輝いた村上宗隆が圧倒的な存在感を示した一方、青木宣親のようなベテランから長岡秀樹ら若手までバランス良くタレントが揃い、チームOPSは12球団最高の.728を誇る。守備面でも中村悠平・山田哲人・長岡秀樹・塩見泰隆で構成されるセンターラインは強固で、投手を助けるシーンが目立った。ただ、40歳を超える青木と故障離脱の多いサンタナが両翼を守る外野陣は底上げが必要だ。
投手陣では、2019年以来となる規定投球回に到達した小川泰弘ら中堅どころが奮闘したが、先発防御率3.84はリーグ最下位。前年9勝を挙げた奥川恭伸の故障離脱が響く結果となった。楽しみな若手投手は多いが、故障させないための分散運用を継続していくためにもさらに厚みを持たせたい。チームの黄金期を確固たるものにするべく、バランス型の指名が望まれる。
補強ポイントで挙げた「2年以内に一軍先発10登板が見込める先発投手」と「長打力に優れた将来性のある外野手」を一人で叶える可能性を秘めたスターが今年のドラフト候補にはいる。矢澤宏太(日体大)だ。
ストレートの強さはもちろん、右打者へのチェンジアップ、左打者へのスライダーと外で勝負できる高い質の変化球を2球種持っている。3シーズン続けて先発としてリーグ戦を回っており、投手単体として見ても上位候補なのは間違いない。野手としては足の使えるアスリートタイプで、芯を食った時の飛距離も世代トップクラス。新たな神宮のスターとして十分すぎる資質を備えている。
先発投手では他に、大学日本代表にも選ばれた菊地吏玖(専修大)も獲得候補リストの筆頭格だ。怪我のリスクの少ない綺麗なフォームに、多彩な変化球を持つという点で小川の系譜に連なり、1年目からローテーションの一角に入るビジョンが見える。同様の理由から、日本選手権でやはり多彩な球種を披露した金村尚真(富士大)、都市対抗野球で緩急を使ったピッチングが印象的だった益田武尚(東京ガス)が挙げられる。
外野では20年に並木秀尊、21年に丸山和郁を指名しているが、長打力を備え、レギュラー級の資質を持つ外野手は年次関係なく獲得したい。矢澤同様に足も使えるアスリートタイプの古川雄大(佐伯鶴城高)、村上宗隆のような懐の深さを感じさせるフォームの三塚琉生(桐生第一高)は、左右で異なるがともに打球速度が非常に速いという共通点を持つ。
内野手では出塁率に優れた、いい意味でしつこいバッターを獲得したい。神宮球場を主戦場とする東京六大学から村松開人(明治大)と朝日晴人(慶応大)の2人の名前を挙げたい。ともに四死球の数が三振の数を大きく上回り、バットコントロールにも非常に長けている。スワローズの既存の野手とは打席アプローチの異なる選手を獲得し、攻撃パターンのバリエーションを増やしたいところだ。
矢澤というスターを軸に、投打でセンターラインを担える選手をバランス良く獲得してスワローズの黄金期を築いていく。そんなドラフトを期待したい。
【理想の指名】
1位:矢澤宏太(投手兼外野手/日体大)
2位:村松開人(二塁手/明治大)
3位:古川雄大(外野手/佐伯鶴城高)
文●シュバルベ
【著者プロフィール】
オリックス・バファローズと東京ヤクルトスワローズのファン。卒業してから足を運んだ東京六大学野球で東大の勝ちを見届け、アマチュア野球"沼"にも片足突っ込んでしまった野球好き。Twitter IDは「@love_uni31」。
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