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プロ野球

今年と同じく前評判は「不作」だった14年ドラフトの結果やいかに?8年経った今振り返ってみると――<SLUGGER>

出野哲也

2022.10.18

巨人と仮契約を済ませた後の岡本和真(写真中央)。不作と言われた14年ドラフトからも、球界屈指のスラッガーは誕生している。写真:産経新聞社

巨人と仮契約を済ませた後の岡本和真(写真中央)。不作と言われた14年ドラフトからも、球界屈指のスラッガーは誕生している。写真:産経新聞社

 今年のドラフトは、始まる前から各所で「不作」と囁かれている。この前評判に不安を募らせているファンもいるだろうが、これまでにもプロ野球界に同様の年がなかったわけではない。直近で言うと、2014年ドラフトがそうだった。

 この年はまず大学生では広陵高時代から評判が高かった有原航平(早稲田大)が、4年秋にヒジを痛めて指名をためらう球団が出ていた。加えて最速157キロの超高校級右腕・安楽智大(済美高)も、2年春のセンバツで合計772球を投じた結果、案の定、肩やヒジに故障が発生する事態にあった。

 目玉となるべき2投手が故障持ちであるだけでなく、上位候補の一人だった田嶋大樹(佐野日大高)はプロ志望届を提出せず。野手にも競合確実と思われる候補はおらず、人材不足が顕著だったのである。結局、入札で競合したのは有原(4球団)と安楽(2球団)だけ。例年なら2位クラスの評価の選手たちが、繰り上げで1位指名された印象は否めなかった。

 それから8年が経って改めて振り返ってみると、確かにこのドラフトは、勝ち組と負け組が顕著にが分かれる結果となった。
 
 とりわけ悪名高いのがヤクルトと中日だ。安楽に入札し、楽天との抽選に敗れたスワローズが外れ1位で指名したのはヤマハの左腕投手・竹下真吾。都市対抗で好投してドラフト直前に評価を上げてはいたが、チームでもエース格ではなかった竹下は、プロでは一軍登板1試合のみ、わずか3年で戦力外となってしまった。

 竹下だけでなく、2位以下で指名した選手たちも、2位の風張蓮(東農大北海道)以外は一軍の戦力になれずじまいだった。育成も含めて8名中7名は大学・社会人・独立リーグの選手。それがドラフト史上でも稀なレベルの大外しとあっては、さすがに言い訳はできない。

 中日は、落合博満GMの方針で徹底した即戦力ドラフトを展開したことが話題になったが、その目論見は完全に外れてしまった。1位指名した野村亮介(三菱日立パワーシステムズ横浜)は一軍登板3試合と、竹下と同等の大失敗。外れ1位でなく入札、しかも直前まで山﨑康晃(亜大→DeNA1位)を指名するはずだったという説もあり、余計に印象を悪くしている。

 2位の浜田智博(九州産業大)も1試合投げただけ、野手でも7位の遠藤一星(東京ガス)らが控えとして一定の成績を残しはしたが、8年後の今ドラゴンズのユニフォームを着ている者は一人もいない。将来性を見込んだ高校生が期待通りに伸びなかった場合には、このような結果に終わるケースはある。だがヤクルトと同様、すぐに戦力となってくれると計算していたドラフトがこのような状態では目も当てられない。
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