メジャー・リーグのワールドシリーズ（WS）が現地時間10月28日から、いよいよ開幕する。世界一を懸けた今シーズンは、ヒューストン・アストロズ対フィラデルフィア・フィリーズの顔合わせとなった。アストロズは２年連続、フィリーズは2009年以来13年ぶりの頂上決戦となる。

　MLB公式サイト『MLB.com』は25日、まもなく開幕するWSの最優秀選手（MVP）を各ライター陣が予想。最有力候補はアストロズの主砲ヨーダン・アルバレスだった。

　アルバレスは、シアトル・マリナーズとのア・リーグ地区シリーズ第１戦の９回に逆転サヨナラ３ラン本塁打を放ち、続く第２戦でも６回に決勝の逆転２ランを打つなど、ドラマチックな活躍を披露。地区シリーズでは長打率.733という驚異的な数字を叩き出し、チームの優勝決定シリーズ進出に大きく貢献した。

　サラ・ラングス記者は「ア・リーグ優勝決定シリーズ（ALCS）では打率.286に留まったが、第4戦では二塁打を含む2安打を放ち、WSでの活躍を予感させるものであった。アルバレスは、昨年のALCSで6試合に出場し、打率.522、OPS1.408を記録し、シリーズMVPに輝いたように、以前にもシリーズの主導権を握ったことがある」と、アルバレスのMVPを予想した。

　ブライアン・マーフィー記者は、アルバレスのチームメイトであるホゼ・アルトゥーベを推した。

「アルトゥーベはALCS第3戦では右中間への二塁打、第4戦では3度の出塁を果たした。この3本の安打はいずれも球速85マイルを超えていないが、ポストシーズンのパフォーマーの一人が、このまま静かに終わるはずがない。彼はプレーオフ歴代2位の本塁打（23本）を放っている。彼の今季レギュラーシーズンは、キャリア最高の『164 wRC+（打者がリーグ平均に対し、どれだけ得点を産み出したかがわかる指標）』を記録している」と、ここ一番の大舞台に強い、アストロズの安打製造機をMVP候補にした。

　続いて「2017年にはALCSのMVPを受賞し、アストロズをWS制覇に導いたが、WSのMVP受賞は彼のキャリアにとって、最後のミッシングピースとなるだろう」とマーク・ファインサンド記者が推薦したのは、過去２度のサイ・ヤング賞（2011、2019年）投手で、今季３度目の受賞が確実視されているアストロズの39歳、ジャスティン・バーランダーだ。

　バーランダーは今季リーグ最多18勝（4敗）、防御率1.75をマークし、トミー・ジョン手術明けとは思えない驚異の成績を残した。ニューヨーク・ヤンキースとのALCS第１戦では最速98.5マイル（約158キロ）を計時するなど、ポストシーズン記録に並ぶ「６者連続」を含む11奪三振を記録し、アストロズ投手陣を牽引している。
  　ここまでアストロズの選手が挙がる中、デビッド・アドラー記者は去年のナ・リーグMVPブライス・ハーパーを挙げた。
【動画】フィリーズを13年ぶりのWS進出に導いたハーパー。去年のナ・リーグMVPの軌跡をチェック

「ハーパーはフィリーズのスターであり、ナ・リーグ優勝決定シリーズ（NLCS）でも止められなかった。今、WSは残された最後のステージであり、ハーパーはフィラデルフィアに優勝を届けるために大きなスイングをすることになる。（去年の）ナ・リーグMVPは、WSのMVPにもなろうとしている」とフィリーズの主砲に注目した。

　ハーパーはサンディエゴ・パドレスとのNLCS第5戦で1点ビハインドの8回裏に逆転2ランを放つなど、全5試合に出場して打率.400（20打数8安打）、3二塁打、2本塁打、5打点、OPS1.250という素晴らしい活躍を見せ、NLCSのMVPに選出。球団史上8度目となるWS進出に貢献した。

　はたして、この中からWSのMVPを掴む選手は出てくるのか。それとも意外なプレーヤーが、MVPを受賞するのか。全米が注目する世界一を懸けたWSの第１戦は、日本時間29日午前９時３分にプレーボール予定だ。

構成●THE DIGEST編集部

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