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心理治療でプライドと向き合った“悪童”プイーグの覚醒。韓国球界で声価を高めた秘訣は?「韓国とアメリカは文化が違う」

THE DIGEST編集部

2022.11.05

キウムでなくてはならない存在となったプイーグ。彼はいかにして異国で活躍を遂げるまでに至ったのか?(C)Getty Images

キウムでなくてはならない存在となったプイーグ。彼はいかにして異国で活躍を遂げるまでに至ったのか?(C)Getty Images

「郷に入っては郷に従え」。新天地、それも慣れない国に活躍の場を求める助っ人選手たちにとってカギとなるのは、この姿勢なのかもしれない。今季に韓国球界へ居場所を求めてやってきたヤシエル・プイーグは、まさにそれを体現するようなスタンスを見せている。

 もっとも、すべてが順風満帆だったわけではない。多士済々のメジャーでも活躍した31歳のキューバ人助っ人だったが、入団当初に沸き上がった周囲の期待とは裏腹に、韓国球界の壁にぶち当たった。

 昨年12月に1年100万ドル(約1億1360万円)でキウム・ヒーローズと電撃契約を締結したプイーグ。法定速度を大幅に超過した交通違反やDV規約違反など度重なる問題行動から再起をかけて、メキシコ・リーグから辿り着いた31歳だったが、6月は打率.204を記録するなど自慢の打撃が低迷。キウムのホン・ウォンギ監督から「今のままでは厳しい」と8番に打順を下げられるなど試行錯誤が続いた。

 しかし、レギュラーシーズンが佳境を迎えた9月に入ってからプイーグは“大物助っ人”の片鱗をようやく見せ始める。月間打率.310、5本塁打と活躍。さらにリーグ平均を100とした場合にどれだけ得点創出能力が「傑出」していたかを示す指標「wRC+」は152。元広島のホセ・ピレラに続く今季のKBOリーグにおける助っ人の中では2位の値となった。

 もう終わったのかもしれない――。そんなレッテルを貼られもしたプイーグは、いかにして異国の球界に馴染んだのか。韓国紙『朝鮮日報』などの取材で本人は、こう明かした。
 
「韓国とアメリカの野球文化は違う。韓国だけの文化を知るために施された周りの配慮が、俺の成長に大きな助けになった。俺は学ぶことを決意し、馴染むように努めた。カン・ビョンシクとオ・ユン。彼ら打撃コーチの献身には特に感謝がしたい。チームの助けがあって、俺は別人になったような気がする」

 さらに自身のツイッターで「韓国に来た時に、エージェントの力を借りて、心理治療を受けた」と明かしたプイーグは、赤裸々な想いを打ち明けている。

「キューバでは心理治療を受けることは『男らしくないことだ』と思われている。だけど、俺は受けることにしたんだ。時には助けを求めることが必要なことだと分かった。幸いにも俺はまだ若く、より良い人生を生きられる。誰かに助けを求めるのは簡単なことではない。だけど、俺は幸せになれる。もう自分を傷つける必要はない」

 かつて「キューバの至宝」と言われたプイーグ。彼は自尊心と向き合い、ある意味でメジャーリーガーのプライドをかなぐり捨てたと言える彼の姿勢こそが、活躍の大きな要因になったと言えそうだ。

構成●THE DIGEST編集部

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