プロ野球

「王さんに並ぶくらいでいいかな」――“球史”を変えた怪物スラッガー・村上宗隆が明かした最高のシーズンに残った後悔

THE DIGEST編集部

2022.11.14

なんとか日本人の左打者では史上最多となる56号を放った村上。しかし、その胸中は穏やかなものではなかった。(C)THE DIGEST

 稚拙な表現かもしれないが、今季の村上宗隆は凄かった。王貞治氏が記録したシーズン55号を塗り替えたのもさることながら、打者として"欠点"を見せなかった点は見事というほかになかった。

 あらためて今季の村上が残したセ・リーグトップの打撃スタッツを見てみよう。

打率:.318
本塁打:56
打点:134
塁打:346
得点:114
出塁率:.458
長打率:.710
OPS:1.168
得点圏:.350
四球:118

 本塁打数と長打率が示すように図抜けたパワーは一目瞭然。それに加えて今季の村上は、アベレージも残せる"確実性"が格段に増した。打率も目を見張るが、何よりも出塁率の高さがそれを表していると言っていい。米スポーツ専門サイト『The Ringer』から「簡単な比較で言えば、ムラカミは全盛期のバリー・ボンズに相当する。日本のプロ野球における90年近い歴史において、最高のシーズンをとんでもない若さで送っている」と賛辞を贈られたように、世界的に見ても歴史的なシーズンを22歳のスラッガーは謳歌したと言える。
 
 しかしながら、当人はすべてに満足はしていない。11月14日に都内で行なわれた記者会見において村上は、最高のシーズン中に抱いた"後悔の念"を語った。

「自分の中でひとつ後悔しているのは、50号を打った時に、王さんに並ぶくらい5本ぐらい打てればいいかなと目標を立ててしまった。そこで自分にもっと期待して、60本だったりって目標を立てておけば、もっと違う結果が生まれたかなと思う」

 たしかに、9月13日に55号を放ってから王氏の記録に到達してから村上の足踏みは続いた。それでも最終的に10月3日に超満員の神宮球場で行なわれたDeNAとのシーズン最終戦で56号は放った。無論、最終盤というシチュエーション的にもファンを沸かせるワンシーンとなったわけだが、そこで「もっと上に行けた」と人知れず惜しむのは、常に高みを目指してきた"怪物"がゆえだろう。

 先述の会見では「現実的な数字は全て狙いたい」と2年連続三冠王という壮大な目標への闘志を口にした村上。その表情は、尽きぬ野心に満ち満ちていた。

構成●THE DIGEST編集部

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