プロ野球

OPSは驚異の1.168!史上最年少三冠王・村上が圧巻の4部門制覇【表彰されざる男たち:セ・リーグ野手編】<SLUGGER>

藤原彬

2022.11.29

残した数字は歴代トップクラス。村上が打撃三冠・最高出塁率と合わせて“8部門制覇”でも驚きはない。写真:滝川敏之

 個人タイトルの対象ではなくとも、選手個人の凄みが詰まった部門のベスト3を紹介する。今回はセ・リーグ野手編だ。(※率系部門は規定打席以上の27人を対象)

■OPS(出塁率+長打率)
1.村上宗隆(ヤクルト) 1.168
2.牧秀悟(DeNA) .861
3.丸佳浩(巨人) .859

 史上最年少で三冠王に輝いた村上は出塁率.458と長打率.710でも突出し、総合的な打力を測るOPSでは前年2位からトップへ。牧は昨季の.890から微減も「2年目のジンクス」とは無縁の水準で、1つ順位を上げた。丸も巨人移籍後で最も低い数値だが、リーグ全体が投高へ傾いた状況で、リーグベストの1.096だった2018年以来4年ぶりに三傑入り。

■四球率(四球÷打席)
1.村上宗隆(ヤクルト) 19.3%
2.丸佳浩(巨人) 13.2%
3.大山悠輔(阪神) 11.6%

 村上は優れた選球眼に加えてリーグダントツの25敬遠と勝負を避けられ、四球数・四球率とも3年連続1位に立った。丸は直近4年間いずれも12.8%~13.8%の間に収める安定感。3位の大山は自身初の2ケタ台を記録し、キャリアベストの出塁率.358につなげた。リーグワーストは中野拓夢(阪神)の3.0%。

■三振率(三振÷打席)
1.宮﨑敏郎(DeNA) 7.3%
2.木下拓哉(中日) 8.2%
3.吉川尚輝(巨人) 9.3%

 昨季は2位に甘んじた宮﨑が、2017年から4年連続で座り続けたトップへ返り咲き。打撃で苦しんだ木下だが、昨季から三振率14.8%→8.2%と大きく減らした点は来季への光明か。リーグワーストは山田哲人(ヤクルト)の25.9%で、140三振も最多。
■BB/K(四球÷三振)
1.宮﨑敏郎(DeNA) 1.26
2.村上宗隆(ヤクルト) 0.92
3.丸佳浩(巨人) 0.91

 打席アプローチの成熟度を示す指標で、三振率を最も低く抑えた宮﨑が1位に。規定打席到達者では唯一、四球より多い三振を選んだ。村上は一軍に定着した2019年から数値を0.40→0.76→0.80→0.92と年々向上させている。

■本塁打率(打数÷本塁打)
1.村上宗隆(ヤクルト) 8.7
2.岡本和真(巨人) 17.3
3.ポランコ(巨人) 18.3

 日本人選手歴代最多のシーズン56本塁打を放った村上は、一発あたりに要した打数が2位の約半分と凄まじい量産ぶり。特に8月は本塁打率5.9と驚異的で柵越え14本を数えた。規定打席未満ではサンタナ(ヤクルト)が12.6、中田翔(巨人)は14.1とランク入り相当ペース。

■得点圏打率
1.村上宗隆(ヤクルト) .350
2.菊池涼介(広島) .340
3.牧秀悟(DeNA) .331

 チャンスでの村上は手がつけられず、得点圏に限ればOPS1.433とバリー・ボンズの全盛期さえ上回る破格値。菊池は3位の昨季同様に勝負強く、得点圏での上昇値.078はリーグトップだった。OPSでは牧の.989が2位で、次いで大山悠輔(阪神)とマクブルーム(広島)が.953と4番の務めを果たした一方、ポランコ(巨人)は.188に沈んだ。
 
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