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プロ野球

ゴールデン・グラブ賞投票の「前進」と「課題」。岡林ら若手の正当な評価は喜ばしい一方、非公開投票による“わだかまり”も<SLUGGER>

新井裕貴(SLUGGER編集部)

2022.11.15

今年もさまざまな議論を呼んでいるゴールデン・グラブ賞の投票結果。岡林(右上)の初受賞は素晴らしかったが、セパの三塁手部門で岡本(右下)&宗(左下)はやや疑問も。何よりマクガフへの1票は何だったのか。写真:THE DIGEST編集部

今年もさまざまな議論を呼んでいるゴールデン・グラブ賞の投票結果。岡林(右上)の初受賞は素晴らしかったが、セパの三塁手部門で岡本(右下)&宗(左下)はやや疑問も。何よりマクガフへの1票は何だったのか。写真:THE DIGEST編集部

 11月14日、守備の名手に贈られる「第51回三井ゴールデン・グラブ賞」の受賞者が発表された。

 菊池涼介(広島)が10年連続の受賞を果たした一方、長岡秀樹(ヤクルト)ら7名が初の栄誉に浴すなど、顔ぶれは多士済済。もっとも、ゴールデン・グラブ賞の結果を巡っては「●●●より×××の方がふさわしい」など、毎年のように多くの議論が巻き起こっている。果たして今年はどんなトピックが生まれただろうか。

●“新時代”の選手たちが正当に評価

 今年のゴールデン・グラブ投票で明らかに「プラス材料」があった。高部瑛斗(ロッテ)、長岡秀樹(ヤクルト)、岡林勇希(中日)といった若手選手が、正当に評価されて受賞したのはアウォード投票の前進を感じさせるものだろう。

【動画】“岡林ビーム”! GG初戴冠の中日・岡林勇希が魅せた強肩をチェック!

 良くも悪くも、ゴールデン・グラブ賞は「評価が遅れてやってくる」とも言われる。いったん名手としてのイメージが定着すると、他の選手がその評価を覆すのにはかなりの時間がかかるケースが少なくない。

 顕著な例は坂本勇人(巨人)と鳥谷敬だ。リーグ平均と比べてどれだけアウトに寄与したかを示すUZRという守備指標で、2014年から鳥谷は遊撃手12球団ワーストの-11.4、-15.4、-21.7と厳しい数字が並んでいた。一方で坂本は16.2→29.7→13.8と圧倒的な貢献度を見せていたものの、名手として長く活躍していた鳥谷の前に14、15年と涙を呑んだ。
 
 ただ、坂本は鳥谷が三塁に転向した16年に初受賞。その後は京田陽太(中日)ら有力候補が台頭しても受賞回数を伸ばしており、後から“取り返す”恰好となった。そうした傾向が見られる中で、レギュラー定着1年目から岡林らが名手として評価されたのは喜ばしい限り。しかも、どの選手もデータ的な裏付けもしっかりあり、まさに納得の選出だった。

●連続受賞の壁はやっぱり厚かった

 同時に、「常連の壁」はやはり簡単に乗り越えられるものでもないことも痛感させられた。パ・リーグでは甲斐拓也(ソフトバンク)が6年連続、源田壮亮(西武)も5年連続と受賞回数を伸ばし、セ・リーグでは菊池涼介(広島)が歴代最多に並ぶ10年連続受賞という偉業を成し遂げた。

 もっとも菊池の場合、ここ数年は一部で「今年こそ牙城が崩れるのではないか」ともみれていた。 UZRでは吉川尚輝(巨人)が3年連続でリーグトップ。今季は15.2を記録し、山田哲人(ヤクルト/7.8)、菊池(6.2)を大きく上回った。とはいえ、吉川はいわゆる“やらかし”も少なくなく、失策数は山田と菊池が3に対して11。日本球界では残念ながら嫌われてしまうタイプとあって、今年も受賞はできなかった。

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