プロ野球

「やっぱ練習できなアカン」――岡田新監督が佐藤輝明に送った“ダメ出し”の意図。完全開花を期する虎の至宝が果たすべきノルマとは?

阪井日向

2022.12.08

1年間を1軍で戦い続けた佐藤。自慢の打撃では幾度となく期待に応えたが、本人は納得してはいない。写真:産経新聞社

 阪神の和製大砲、佐藤輝明の2年目は、幾度となく期待に応えながらも消化不良を抱かせる形で幕を閉じた。

 チームで唯一の全143試合のスタメン出場を果たし、左打者としてNPB史上初の新人から2年連続20本塁打と、リーグ4位の84打点を記録。それでも、「超逸材」として期待されるがゆえのハードルの高さを、自らも感じ取っている。

「まだまだどの成績を見ても物足りないと感じる。またいちから身体をしっかり鍛え直して、シーズン通して安定した成績を残せるように」

 キャンプイン前日に今季限りでの退任を電撃発表した矢野燿大監督から、球団史上最年少での開幕4番を託されて始まった今シーズン。泥沼の開幕9連敗、史上最低勝率、前半戦での借金完済、新型コロナによる主力の大量離脱とチームは激動の1年だったが、佐藤個人は、昨季リーグワーストの173を数えた三振数が137に減少し、四球も25から51へと倍増させるなど、あらゆる成績面において軒並み向上を見せた。

 だが、本人が「甘い球でも少しズレて、あとひと伸び、フェンス直撃みたいな打球がすごく多い気がして。その結果がツーベース、スリーベースの増加につながったと思う」と語るとおり、二塁打数(35本)と三塁打数(8本)はともにリーグ2位を記録した一方、代名詞とも言える本塁打の数は24から20に減少。横浜スタジアムでの場外弾や1試合3本塁打を放ったルーキーイヤーを思えば、爆発力という意味では昨季より欠けた1年でもあった。
 
 超が付くほどの人気球団の主砲が背負う宿命は重い。何かあればすぐに喧騒に包まれる環境において、さらに拍車をかけたのが来季から指揮を執る岡田監督の秋季キャンプでのダメ出しだった。

「やっぱり練習できなアカンよ、そういうところやろ。素人が見ても分かると思うで、打球の強さとか守備の動きにしても。(阪神に)入ってきた時が一番よかったんちゃう? (三塁で固定の方針も)今日の動き見とったらホンマに分からへんわ」

 優勝へのキーマンとして期待をかけるからこそのストレートな発言は、周囲の雑音をより強くした。

 だが、3年目での完全開花を期す佐藤の目は、すでに先へと向けられている。秋季キャンプ終了後の本人の言葉から紐解くと、来季に向けて2つの強化ポイントが挙げられる。
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佐藤の奮起なしには望めない「アレ」