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千賀獲得で総年俸は史上初の3億ドルの大台を突破!メッツの大富豪オーナーの“爆買い”はどこまで続く?<SLUGGER>

SLUGGER編集部

2022.12.14

今オフも飽くなき補強でメッツ悲願の世界一へまい進するコーエン・オーナー。資金力はとどまるところを知らないかのようだ。(C)Getty Images

今オフも飽くなき補強でメッツ悲願の世界一へまい進するコーエン・オーナー。資金力はとどまるところを知らないかのようだ。(C)Getty Images

 メッツの、いや、オーナーを務めるスティーブン・コーエンの“爆買い”が止まらない。このオフのFA(フリーエージェント)契約をまとめると、以下のようになる。

11/9 エドウィン・ディアズ(投手) 5年1億200万ドル
12/7 ジャスティン・バーランダー(投手) 2年8666万ドル
12/8 ブランドン・ニモ(外野手) 8年1億6200万ドル
12/9 ホゼ・キンターナ(投手) 2年2600万ドル
12/9 デビッド・ロバートソン(投手) 1年1000万ドル
12/10 千賀滉大(投手) 5年7500万ドル

 これまでに結んだ6件のFA契約の総額はすでに4億ドルを突破。来季の年俸総額も、史上初めて3億ドルの大台を超えることがすでに確定している(3億3500万ドル)。日本円にして、およそ459億円。これは日本プロ野球の選手全員を雇ってもなお、50億円以上も余る計算だ。

 1956年にニューヨークで生まれたコーエンは、かつてトレーダーとしてウォール街で名を馳せた人物だ。自ら率いたヘッジファンドで巨万の富を築き、”帝王”と呼ばれるほどの存在感を誇った。だが、そのビジネス手法はかなり強引だったようで、13年にインサイダー取引で刑事訴追され、18億ドルもの罰金を払った“黒い過去”もある。

 ピカソやアンディ・ウォーホールなどの美術品コレクターとしても知られるコーエンが、幼い頃からファンだったメッツのオーナーに就任したのが20年12月。すぐに「二流のまま終わるつもりはない」と、莫大な富をバックに大型補強に着手。21年1月にはフランシスコ・リンドーア、昨オフはマックス・シャーザーと超大物を次々と獲得。そう考えれば、このオフの補強も驚きではない。

 何と言ってもすごいのは、総年俸が一定の額を超えた際に課される戦力均衡税(ぜいたく税)を屁とも思っていないところだ。
 
 戦力均衡税の税率は超過幅に応じて4段階に設定されていて、最も重い4つ目の基準ライン(23年は2億9300万ドル)を超えると超過額の80%もの税金を払わなければならなない。これはコーエンの規格外の財力を懸念して設定されたものとも言われ、「コーエン・ルール」という別称もあるくらいだ。

 だが、そんな「コーエン・ルール」も、当人にとっては何の意味もなかった。前述の通り、メッツの現在の総年俸は3億3500万ドルで、。4番目の課税ラインを優に超えていて、。MLBへの”納税額”は7620万ドル(約000.0億円)にも上るという。当然ながらこちらも史上最高額。税額だけでアスレティックスやパイレーツ、オリオールズの昨季の総年俸を賄えてしまう。

 これほどの超巨額を投じながらも、地元紙の『New York Post』をはじめ、「メッツの補強はまだ終わっていない」とみる現地メディアは多い。一部では、今オフの“FA遊撃手ビッグ4”の筆頭格であるカルロス・コレア獲得に乗り出すとの見方もある。

 投資家グループが球団を所有することが増えた今、コーエンのような名物オーナーはむしろ少数派。ヤンキースやレッドソックスのような金持ち球団でさえ「合理性」の名の下に超大型補強を控える時代に、コーエンのようなド派手な“爆買い”はむしろ爽快ですらある。

 1986年を最後にもう40年近くもワールドチャンピオンから遠ざかっているメッツ。超金満オーナーの力を借りて頂点まで上り詰めることができるだろうか。

構成●SLUGGER編集部

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