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【どこよりも早い2023ドラフト候補ランキング解説】大学生投手を筆頭に各カテゴリーに好素材が集まり、すでに豊作の予感<SLUGGER>

西尾典文

2023.01.04

注目度ナンバーワンと言ってもいい佐々木。だが、他にも各カテゴリーに優れた素材が集まっている。写真:THE DIGEST写真部

 2023年ドラフトは高校生・大学生・社会人、それぞれのカテゴリーに目玉候補が揃い、すでに豊作の予感が漂っている。

【表】2023ドラフト候補ランキング最終版1~50位一覧(1月1日時点)

 まず高校生では佐々木麟太郎(花巻東)、真鍋慧(広陵)の大型スラッガー2人が早くから注目を集めている。佐々木は肥満体型や高校通算本塁打の価値などマイナス面が報じられることも多いが、長打力は数年に一人というレベルであることは間違いない。今春のセンバツ出場は絶望的だが、春以降はまた岩手にスカウト陣が集結することになりそうだ。打者としてのスケールは真鍋も負けてはいない。まだ内角は窮屈になることもあるが、軽々とスタンドへ運ぶ長打力は佐々木と双璧。センバツでも野手では最注目の存在となるだろう。

 高校生野手でこの2人に続くのが堀柊那(報徳学園・捕手)と明瀬諒介(鹿児島城西・一塁手)だ。堀の強肩はプロでも上位のレベルで、打撃も着実にレベルアップしている。明瀬は貴重な右のスラッガーで、ホームラン打者らしい打球角度も光る。春以降の活躍次第では1位候補になることも十分にあるだろう。

 高校生投手では前田悠伍(大阪桐蔭)が一歩リードしている状況。秋は調子を落としていたが、それでも負けないのはさすがという他ない。センバツではストレートで押す投球も期待したい。前田以外の投手では坂井陽翔(滝川二)、東松快征(享栄)、平野大地(専大松戸)なども楽しみな存在だ。
 そして、最も有力候補が多いのが大学生の投手だ。現時点で一番人気になりそうなのが最速155キロサウスポーの細野晴希(東洋大)だが、その細野が突出しているように見えないところに充実ぶりを感じる。細野と同じ東都では常広羽也斗(青山学院大)、西舘勇陽(中央大)も有力な1位候補。ともにコンスタントに150キロ以上をマークし、変化球のレベルも高い。大学日本代表候補合宿でもさすがの投球を見せた。常広の同僚である下村海翔(青山学院大)、秋はMVPに輝いた武内夏暉(国学院大)も総合力の高さは大学トップレベルだ。

 他にも、関西では上田大河と高太一(ともに大阪商業大)、地方では滝田一希(星槎道都大)、富士隼斗(平成国際大)、松本凌人(名城大)なども力は十分で、春以降の投球次第では1位指名の可能性もあるだろう。

 大学生野手では進藤勇也(上武大・捕手)、広瀬隆太(慶応大・三塁手)、上田希由翔(明治大・三塁手)の3人が有力候補。進藤はハイレベルな強肩強打、広瀬は長打力、上田は対応力がそれぞれ持ち味で、スケールの大きさも申し分ない。投手が豊作だけに、先に野手を確保しようという球団が出てくる可能性も高そうだ。

 社会人は高校生、大学生に比べると現時点での有力候補の数は少ないものの、野手の目玉となりそうな選手は存在している。それが高卒3年目の度会隆輝(ENEOS・外野手)だ。1年目から名門ENEOSのレギュラーとなり、昨年は都市対抗で4本塁打を放つ大活躍でMVPにあたる橋戸賞も受賞した。天才的なバットコントロールに長打力が加わり、守備と走塁も順調に成長している。久しぶりに社会人に現れた高校卒野手の大物だけに、今年も高い注目を集めることは間違いないだろう。

文●西尾典文

【著者プロフィール】
にしお・のりふみ。1979年、愛知県生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。アマチュア野球を中心に年間400試合以上を取材。2017年からはスカイAのドラフト中継で解説も務め、noteでの「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも多くの選手やデータを発信している。