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巨人が獲得した最速167kmの豪腕ビエイラ。「プロとは思えない」“ノーコン”ぶりが全米で話題に

2019.12.01

巨人入りが決まったビエイラを3つのキーワードで紐解いた。
(C)Getty Images

 巨人が3日、ホワイトソックスのチアゴ・ビエイラ投手(26歳)と合意したことが分かった。ビエイラはメジャー通算23試合で防御率7.36と成績は残していないのだが、日本でも話題になりそうな面白いエピソードを持っている。彼を語る上でぜひ3つのキーワードに注目してほしい。

珍しいブラジル出身メジャーリーガー
 ビエイラは2017年にマリナーズでメジャーデビューし、史上4人目のブラジル出身メジャーリーガーとなった。「ブラジルで野球?」と疑問に持つ方もいるかもしれないが、13年の第3回WBCで本大会に出場するなど力を徐々に付けていて、ビエイラもWBC予選でクローザーを務めて同国の本戦初出場に貢献している。ビエイラいわく、ブラジルはサッカーが一番人気のスポーツだが「俺はずっと野球が大好きだったんだ!」と根っからの野球小僧だったそうだ。

②速球のスピードは大谷以上!?
 ビエイラの武器は、マイナーの球場ガンで103マイル(約166.7km)を計時したこともある超スピードボールだ。この数字は16年に大谷翔平(現エンジェルス)が記録した165kmを上回っていて、日本記録更新も視野に入ってくる。「計測ミスじゃないの?」という声もあるだろうが、メジャーデビューした17年以降も99.2マイル、18年は96.5マイル、今年も97.5と、「平均」球速でこれだけの数字を残しているのだから、そのスピードは本物と見ていいだろう。
 
 もっとも、この豪腕でありながらメジャー通算23試合で防御率7.36、マイナーでも224試合で4.77と平凡な数字しか残せていないのにも理由がある。一つは渡米してから変化球(スライダー)を学び、まだまだ精度が低いこと。もう一つは、剛速球の回転数は平凡で、球速の割に打者がスピードを感じず、空振りを多く奪えていないことが関係していそうだ。

全米話題の「ノーコン」ぶり
 メジャーで結果を残せていないビエイラだが、「一度」だけアメリカを沸かせたことがあった。それも、デビュー戦の投球練習中に。
 
 ウォーミングアップの最後の1球、いつも通りワインドアップで放り投げた速球は……捕手と左打席の外にいた主審の間を一瞬でぶち抜きバックネットへ(もし左打者がいたらある意味、ジャストミートしていた?)。それでいて本人は涼しげにマウンドを降りていく姿が話題を呼び、SNSで「プロとは思えない(笑)」「最高の投球練習」「審判の表情見た?(笑)」と盛り上がった。その後は残念なことに(?)大暴投はしていないが、ビエイラの来日が決まったら「投球練習」にもぜひ注目して見てほしい。

構成●新井裕貴(SLUGGER編集部)