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侍ジャパン

怪腕ダルビッシュ有は何が「とんでもない」のか。侍Jのブルペンで首脳陣も脱帽した尋常じゃない技術力と異能ぶり【WBC】

THE DIGEST編集部

2023.02.19

ブルペン入りを果たし、「完成度としては結構高いんじゃないかな」と語ったダルビッシュ。そのボールには周囲からも驚きの声が相次いだ。写真:梅月智史

ブルペン入りを果たし、「完成度としては結構高いんじゃないかな」と語ったダルビッシュ。そのボールには周囲からも驚きの声が相次いだ。写真:梅月智史

「どの球も素晴らしかったですし、受けていて本当に楽しかったです。感動しました」

 来る3月の開幕に向け、宮崎での合宿を行っている侍ジャパン。そのなかで“エース”とされるダルビッシュ有(サンディエゴ・パドレス)のボールを受けた正捕手候補・甲斐拓也(ソフトバンク)は、そう脱帽した。

 合宿2日目となったこの日、ダルビッシュは初のブルペン入り。「思っていたより身体が動いていた」と振り返ったように、一球一球に力強いボールを甲斐のミットをめがけて投げ込んだ。

 時折、コンビを組んだ経験がない2歳年下の捕手に「あぁちょっとアカンな」と声をかけながら、自身の傍らに設置したトラックマン(投球や打球の軌道を数値化する計測機器)から算出される投球データを確認。そこからは一球一球ごとに狙いを込める意識の高さを窺わせた。投球数は34球だけではあったが、無駄な球はなかった。

 来日直前の今月9日にパドレスと42歳までのプレーを保証された6年総額1億800万ドル(約142億1000万円)という契約を締結したダルビッシュ。選手や関係者が口々に「ちょっと次元が違う」と漏らした洗練されたボールは本番仕様ではなかったが、メガディールを結ぶに至るワケを示したようでもあった。

 そんな36歳の投球に「技術がね……。トラックマンの数値の方は見ましたけど、とんでもないピッチャーだなと思いましたね」と漏らしたのは、厚澤和幸ブルペンコーチだ。
 
「何年ぶりかに見ましたけど、あらためて蘇ってきましたね、あのボールの記憶が」

 そう語るのも無理はない。現在オリックスの投手コーチも務める厚澤コーチは、2004年から日本ハムの投手コーチを務めていた経歴があり、プロ入りを果たしたばかりの発展途上にあるダルビッシュを知る人物だ。

 ではなにが、「とんでもない」のか。厚澤コーチは独特な言い回しで次のように表現する。

「トラックマンには球種ごとに投げるボールのデータが載るんですけども、数値の中に2人の投手がいるようなデータがでるんです。ダルビッシュが投げると、データの中に明らかに全く違う別の投手の数値が出てくるんです。普通の右上手投げの投手じゃない数値のボールを彼は投げているんで、こりゃバッターは厄介だろうなと思います。

 数値だけ見たら『あぁ横投げの人が投げてるんだろうな』って思う。だけど、投げてる投手を見たらダルなんです。そういう巧みな技術を使ってて、しかも速い球を操れている。これだけ操れる選手は彼だけじゃないですか?」
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