「こっちきてぇ～！」「サインくださ～い！」

　宮崎で行なわれている侍ジャパン合宿の２日目も練習が終わり、帰路に就こうとしていた山川穂高（西武）がメディアからの取材に応じている時だった。記者陣の背後からファンの物凄い黄色い歓声が上がった。
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　ドッと沸いた“原因”はダルビッシュ有（サンディエゴ・パドレス）にあった。今合宿で初となるブルペンでの投球を終え、ウェイトトレーニングなどをこなした36歳は、宿舎に戻るためのバスに乗り込む直前にファンの求めに応じ、サインをしたのだ。

　老若男女問わずにサインを求められる姿は、まさにスーパースター。メジャーリーグで声価を高めてきた証でもある。
  　そんなベテランの姿を「すぐ誰が来たかって分かりますもんね(笑)」と笑いながら語った山川は、そこまで続けてきた自身の打撃論を止め、しばらくダルビッシュの振る舞いに見入った。そして「すげぇな……僕がサイン欲しいぐらいですよ(笑)」と続け、「初めて」だという“エース”とのコミュニケーションについて語った。

「野球の話とかトレーニングの話とか色んな話をしました。めちゃくちゃ話しやすいっす。正直、もっと怖いって思っていたんで。変な質問をしても大丈夫そうです(笑)」

　もっとも、山川自身にも普段以上に注目が集まる環境だ。しかし、西武を牽引するパ・リーグ本塁打王は気負うタイプではない。この日の観客動員数は１万9000人を超えたが、「僕ね、人が多いと調子に乗れるんで。そっちの方が絶対良いタイプなんです。人が少ないとチーンってなるんで、これ（ファンの多さ）はもうありがたくて仕方ない」と強調した。

　脚光を浴びるダルビッシュに謙遜しつつも、やる気を漲らせている山川。本大会に向けて「みなさんが思っている以上に陽キャ（陽気なキャラクター）なんで」と意気込む主砲からも目が離せない。

取材・文●羽澄凜太郎（THE DIGEST編集部）

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