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侍ジャパン

後輩たちが「めちゃくちゃ話しやすい」と脱帽。“歩く教科書”ダルビッシュ有の際立ったコミュニケーション術【WBC】

THE DIGEST編集部

2023.02.20

積極的に若手選手たちとコミュニケーションを図っているダルビッシュ。彼を中心に侍ジャパンの結束は深まっている。写真:梅月智史

積極的に若手選手たちとコミュニケーションを図っているダルビッシュ。彼を中心に侍ジャパンの結束は深まっている。写真:梅月智史

 2月17日から宮崎にあるひなたサンマリンスタジアムで実施されているワールド・ベースボール・クラシックに向けた日本代表合宿。第1クールが終わり、やはり際立っていると感じさせられたのは、ダルビッシュ有(サンディエゴ・パドレス)だった。

 プレー面での偉才ぶりを深く論じる必要はない。18日にブルペン入りを果たした際に、厚澤和幸ブルペン担当コーチが「普通に考えたらありえない。技術の高さが尋常じゃない」と語った言葉が全てを物語っていると言っていい。

 ではなにが、今合宿において“際立っている”のか。それは、後輩たちへの積極的なアプローチだ。

 本人は「一緒に成長していけたら」と気負ってはいない。しかし、「もう友だちと思っているので。ずっと長いこと一緒に過ごしている人と思って接するようにしています」と言うダルビッシュは、練習中に後輩たちと語り合う姿が目に付く。19日に佐々木朗希(ロッテ)がブルペンに入った際には、その投球を見学。宮城大弥(オリックス)、戸郷翔征(巨人)らと座り込みながら野球談議に花を咲かせていた。

「もう友だちだと思っている」。年齢や実績などは全く関係なく、対等に接するフランクな振る舞いは、“近寄りがたい”という壁をなくし、自然と同僚たちを惹きつけている。
 
 選手たちも口々にダルビッシュの振る舞いに尊敬の言葉を並べる。戸郷が「技術を惜しみなく教えてくれるので本当にありがたい」と語れば、主砲として活躍が期待される村上宗隆(ヤクルト)も「言葉とかじゃなくて、本当にすごい考えて野球をやられている。勉強熱心ですし、見習っていきたい」と脱帽。さらに「めちゃくちゃ話しやすい」と明かした山川穂高(西武)は、こう続けた。

「野球の話とかトレーニングの話とか色んな話をしました。正直、もっと怖いって思っていたんで。変な質問をしても大丈夫そうです(笑)」

 どんな選手とも打ち解けやすいように振る舞うための引き出しの多さは、まさに教本のようである。実際、厚澤コーチは「教科書みたいな人が目の前で見られるんだから、みんな見たいでしょうね」と指摘している。

 これに同調するように栗山監督もダルビッシュの存在意義を強調する。

「本当に感謝しかない。若い人たちと話をしてくれながら、自分も学び、いろんなものを与えてもらっている」

 まるで“歩く教科書”。チーム最年長として率先して行動するダルビッシュを中心に、いま、侍たちは団結を深めている。

取材・文●羽澄凜太郎(THE DIGEST編集部)

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