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侍ジャパン

“珠玉の攻防”に見た村上宗隆の三冠王たる所以。圧巻だったダルビッシュ有が「頭がいい」と認めた一打【WBC】

THE DIGEST編集部

2023.02.22

ダルビッシュ(右)が「ちゃんと捉えていた」と振り返った村上(左)の一発。それは決して、風の気まぐれでスタンドに届いたものではなかった。写真:梅月智史

ダルビッシュ(右)が「ちゃんと捉えていた」と振り返った村上(左)の一発。それは決して、風の気まぐれでスタンドに届いたものではなかった。写真:梅月智史

「久々にゾクゾクした」

 練習の様子を見に来ていたプロ野球解説者で、かつて広島で活躍した小早川毅彦氏も、周囲の記者に思わずつぶやきかけた。

 往年の名手がそう漏らすほど、この日に宮崎で繰り広げられたダルビッシュ有(サンディエゴ・パドレス)と村上宗隆による“バトル”は、レベルの高さを感じさせた。

 今月17日にスタートした日本代表合宿も4日目を迎えたこの日、練習前からファンやメディアの視線を釘付けにしていたのは、ダルビッシュだった。今春初のライブBPに登板が予定されていたからである。

 球場全体に冷たい風が吹き込むなかで、熱視線が向けられたダルビッシュは半袖でマウンドに立った。そんなベテランエースに先陣を切って対峙したのが、村上だった。

 全5打者で20球(実際は24球)という限定的な勝負であった。そのなかで初球からフルスイングを仕掛け、会場を沸かせた背番号55が、「ダルビッシュがどんなボールを投げるのか」に注目していた球場の空気を一変させたのは、カウント1-2からの4球目だった。

 真ん中高めにやや甘く入った2シームをジャストミート。高々と上がった打球はあっという間にバックスクリーンへと飛び込んだ。当人は「風ですよ」と謙遜するが、打たれたダルビッシュが「僕としても経験はあるので、(本塁打は)ちゃんと捉えていた」と語る通り、会心の一打だったと言えよう。
 
 もっとも、筆者がより“ゾクゾク”させられたのは、ダルビッシュが「もう一回いいですか」と言って実現した2度目の対決だ。外角からのスライダーにスッとバットを出すと、力むことなくレフト前に弾き返したのである。

 この日に打席に入った他の打者の多くが「曲がり方が凄い」(岡本和真)と手を焼いていたダルビッシュのスライダーをあっけなく打開した村上。際立ったスイングの鋭さと対応能力の高さが示されたシーンでもあった。

 三冠王の打力には、ダルビッシュも称賛の言葉を送っている。

「ちょっと凄く恥ずかしいあれだったんですけど……、あれ(2打席目)も外からのスライダー。結構、簡単に通るような球ですけど、しっかり待って逆方向に軽く打ち返してきたのでびっくりしました。本人は『外からのスライダー来ると思いました』って言ってたので、そういう所も頭がいいなと思いました」
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