３月４日に中日と壮行試合を行なった侍ジャパン。前日はリリーフ陣が打ち込まれ10安打7失点、打線も６安打２得点と沈黙したが、この日は違った。

　３回にサポートメンバーでスタメン入りした９番・藤原恭大が中日の先発・大野雄大の４球目のカットボールを右中間へ。ライトのアキーノがスライディングキャッチを試みるも、ボールを後逸してしまい、藤原は３塁まで進塁。この日１番に入った近藤健介が３球目のツーシームを左中間に弾き返す二塁打で、侍ジャパンが先制点を奪った。 

　打線は７回に岡本和真が待望のチーム初本塁打が飛び出し、８回にも日本ハムからサポートメンバーとして途中出場した万波中正がセンターへ２ランホームランを放ち４得点を挙げた。

　投手陣も先発した佐々木朗希が初回からエンジン全開。最も沸いたのが、２死でランナーを一、三塁に置く場面で昨日ホームランを放った新助っ人アキーノと対峙した時だ。同選手に投じた4球目のストレートが自己最速165キロを記録。大谷翔平（ロサンゼルス・エンジェルス）もベンチで苦笑いを浮かべるほどの衝撃で、観客の度肝を抜いた。

　160キロ以上を連発する21歳の右腕が３回を無失点で終えると、後を受けた宮城大弥がアキーノにソロアーチを浴びたものの２回を１失点、髙橋宏斗、伊藤大海がそれぞれ２回を投げて無失点でピシャリ。伊藤は１本も安打を許さないパーフェクトピッチングで初セーブを挙げ、侍ジャパンが4対1で中日を下し、前日の屈辱を晴らした。
  　この試合は動画配信サービス『プライム・ビデオ（Prime Video）』で独占中継され、解説を務めた里崎智也氏は佐々木の圧巻なピッチングを見て「侍ジャパンの中でも仕上がりは相当いい」とべた褒め。

　さらに、「このまま状態が継続すれば」としたうえで、「決勝で佐々木が守護神として出てくるかも」と、2009年大会で先発だったダルビッシュ有を準決勝ラウンド以降から抑えに回し、世界一連覇を掴んだ戦略が今大会もあるのではないかと言及した。

　同じく解説を務めた福留孝介氏も「（佐々木は）自信を持って投じている。もうWBC公式球に順応できている」と称賛。しかし、初回だけで30球を要した球数の多さを指摘。「このままいったら４回途中で交代しなければいけなくなる。次のピッチャーもすぐ準備しなきゃいけなくなる」と本番を見据えたコメントを残した。

　また、両氏は大谷の打順についても気になり始め、それぞれ予想した。福留氏は「僕は１番大谷。大谷の後の２番はヌートバー選手とか」と述べると、里崎氏も１番大谷を推薦した。「現代表だと１番の経験者があまりいないですよね。僕もヌートバー選手は出塁率はいいと思うけど、最近の頑張りで近藤も面白い」と話した。

　試合を終えると、福留氏は「選手らは現状やることを分かっている。そんなに心配しなくてもいい」と述べ、里崎氏も「打線は徐々に状態を上げていくことが必要。投手が最少失点で抑えながら、一発とかでこういう展開にしていきたいですよね」と、WBC本番に向け侍ジャパンにエールを送った。

構成●THE DIGEST編集部

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