３月９日にワールド・ベースボール・クラシック（WBC）初戦を控える侍ジャパン。６日に京セラドーム大阪で行なわれた阪神タイガースとの強化試合は、メジャー組の出場が解禁となり、ようやくチームの骨格を成すベストメンバーが顔を揃えた。
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　なかでも大谷翔平は、“超別格”と言っていいほど、その打棒を存分に発揮した。「３番・指名打者」で出場した注目の第１打席は阪神の先発・才木浩人の154キロのストレートに空振り三振を喫したが、３回の第２打席はカウント1-2で追い込まれた４球目のフォークを強烈なパワーと技術でセンターバックスクリーンに弾き返した。

　会心の３ランホームランに、球場に駆け付けた3万3460人は一気に沸いた。「時差ボケで体調も100％ではない」と大谷は話すが、そんな不安がまるで嘘のような特大の一発に「いいスイングができた」と会心の一打を振り返った。

　この日の「ショータイム」は、これだけで終わらなかった。５回の第３打席には、阪神２番手のルーキー左腕・富田蓮から今度はライトスタンドへ打った瞬間に分かる豪快な３ランを放り込み、２打席連続本塁打。ひとりで６打点を稼ぐ“無双”の活躍を見せ、球場は狂喜乱舞した。

　第４打席も期待されたが、山川穂高と交代しベンチに退いた大谷は３打数２安打２本塁打６打点と大車輪の活躍。チームも10安打８得点を叩きだし、阪神に８対１で完勝した。
  　侍ジャパンとしての初戦を最高のスタートで切った大谷は、ヒーローインタビューで「（チーム合流後）初めてのゲームだったが、いい雰囲気で戦えた」と冷静に答えると、片膝をつきながらもボールをすくい上げた１本目のホームランについて「１打席目は反応が悪いかなと思ったが、２打席目は修正しながらいい打席だった。才木投手も素晴らしいボールを投げていたので、なんとか負けないように良い角度で振ることができた」と振り返った。

　異次元なパフォーマンスはチームメイトからも賛辞が続々出ている。８回に７点リードの場面で登板した湯浅京己はロッカーで大谷のホームランを見ていたと言い、その飛距離に驚愕。「エグいです」と言い、「打球もすごかったし、見てる自分たちがワクワクしていた」と、そのパフォーマンスに羨望の眼差しを向けていた。

　大谷と同じくメジャー組で日曜日からチームに合流した吉田正尚は「驚愕ですね」とこぼし、「ベンチでは、みんな見入っていた」と、特大アーチを放った打球にチームメイトも熱い視線を送っていたという。

　打席に入る度にファンは、大谷のバッティングを見逃がさないようスマホやタブレットで動画撮影し、多くの視線が背番号16に注がれていた。まさに、スーパースターたる所以と言える場面だった。

取材・文●湯川泰佑輝（THE DIGEST編集部）

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