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侍ジャパン

“究極の左殺し”メキシコ先発パトリック・サンドバル。攻略のキーワードは「選球眼」と「対右打者の4シーム」【WBC】<SLUGGER>

SLUGGER編集部

2023.03.20

エンジェルスでは大谷と焼肉に行くなど、仲良しエピソードばかりがこれまでクローズアップされてきたサンドバル(写真)。だが、WBCでは強敵になる。(C)Getty Images

エンジェルスでは大谷と焼肉に行くなど、仲良しエピソードばかりがこれまでクローズアップされてきたサンドバル(写真)。だが、WBCでは強敵になる。(C)Getty Images

 現地3月20日、侍ジャパンはワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の準決勝でメキシコ代表と対戦する。中南米の雄が向けてくる先発はパトリック・サンドバル(エンジェルス)。大谷翔平と仲が良いことが知られている彼が、今大会最大の難敵として立ちはだかるかもしれない。

 昨季は6勝9敗、一見平凡な成績だったようにも思えるサンドバルが、なぜ“日本キラー”になり得るのか? その理由は、左打者への圧倒的に強さだ。2022年は対右打者の被打率が.271だったのに対し、対左はなんと.151。119打数で1本もホームランを打たれていないどころか、長打も二塁打2本のみと抑え込んだ。

 サンドバルの左打者キラーぶりを支えているのは、スライダーとシンカーだ。スライダーは打者の手元で鋭く横滑りし、左打者はたとえボール球であろうと面白いように空振りしてしまう。また、平均93.6マイル(約150.6キロ)のシンカーで内角を攻めてゴロに打ち取る。メジャーの強打者も打ちあぐねる必殺のコンビネーションがサンドバル最大の武器となっている。

 昨季は8月以降の10先発で防御率1.83と好投するなど投手として一皮むけた感もあるサンドバル。今季は本格ブレイクも期待されている。事実、1次ラウンドのアメリカ戦に優れた才能の片鱗をのぞかせていた。初回、やはりエンジェルスのチームメイトでメジャー最強打者の一角であるマイク・トラウトを打席に迎えた時だ。

 トラウトはサンドバルにとって苦手の右打者。だが、カウント1-2から投じたスライダーは驚異的なものだった。クロスファイヤー気味に投じられたボールは横滑りしただけでなく、トラウトをもってしても目で追いきれないほどの落差で急激に落ちていった。結局、アメリカの主砲のバットはあえなく空を切り、空振り三振。スライダーが左右両方に威力を発揮するとなると、いよいよ要注意だ。
 
 周知のように、侍ジャパン打線は1番のラーズ・ヌートバー(カーディナルス)から近藤健介(ソフトバンク)、大谷、村上宗隆(ヤクルト)、吉田正尚(レッドソックス)と上位に左打者をずらり並ぶ。左打者に滅法強いサンドバルをどのように攻略すべきだろうか。

 サンドバルの最大の弱点は制球にある。昨季の与四球率は3.63は、140イニング以上投げた両リーグ72投手中、ワースト5位。ヌートバー、近藤、吉田と侍ジャパンには選球眼が持ち味の打者が多く、徹底的にボールを選んで自滅に追い込む作戦は有効だろう。

 また、右打者への4シームもも狙い目だ。高めに投げ切れず、真ん中近辺に甘く入ってくることも珍しくない。実際、昨季は対右打者の4シームは被打率.382と打ち込まれていた。岡本和真や牧秀悟ら右打者は、甘く入ってきた4シームを逃さず仕留めることが重要となるだろう。

 侍ジャパンが今回のWBCで対戦してきた投手と比べても、サンドバルは一段階も二段階も上。2009年以来の優勝を現実のものとするためには、まずこの男を攻略する必要がある。準々決勝までは順風満帆だった侍ジャパン打線の真価が問われる一戦になることは間違いないだろう。

構成●SLUGGER編集部
 
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