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大谷翔平とトラウトの名勝負も“違反”に!? 米識者がピッチクロックへ異論「やはり野球の魅力を失っていく」【WBC】

THE DIGEST編集部

2023.03.23

文字通りの頂上決戦で実現した大谷とトラウトのマッチアップ。このハイレベルな対決はしかし、新ルールが導入されていれば、あっけない幕引きを迎えていたかもしれない。(C)Getty Images

文字通りの頂上決戦で実現した大谷とトラウトのマッチアップ。このハイレベルな対決はしかし、新ルールが導入されていれば、あっけない幕引きを迎えていたかもしれない。(C)Getty Images

 今季からメジャーリーグではいくつかの新ルールが導入された。そのなかで、“最も”と言っても過言ではないほど物議を醸したのが「ピッチクロック」だろう。
【動画】大谷vsトラウト、世界が注目したマッチアップの“全6球”をチェック!

 投球間隔の時短を目指すために設けられたピッチクロックは、投手であれば、走者なしで15秒、走者ありで20秒以内に投球しないと1ボール。打者は8秒以内に打席に入って投球に備えなければ1ストライクを宣告されるというものだ。

 これまで野球界は「間」の使い方も駆け引きのひとつとされてきた。しかし、昨今の視聴者数の低下、Z世代のファン離れなどに対応するためにMLBは、この革新的なルールを設けた。だが、今春のオープン戦からメジャーリーグでも実施されると、慣れない選手や首脳陣から不満が噴出。いまだ賛否両論を呼んでいる。

 そうしたなかで、ピッチクロックの是非を問う議論がここにきて白熱している。

 キッカケとなったのは、現地3月21日に行なわれたワールド・ベースボール・クラシック(WBC)決勝、3対2と日本代表がアメリカ代表をリードした最終回に実現した大谷翔平とマイク・トラウト(ともにロサンゼルス・エンジェルス)のマッチアップだった。
 
 球界を代表する両雄の対決は、世界中のファンを沸かせた。だが、この時に大谷が投球にかけた時間は全てが20秒以上。今回のWBCでは導入されていなかったが、仮にピッチクロックが設けられていれば、日本のエースは四球で出塁を許していた可能性があった。

 もっとも、あの間がなければ、球場全体が固唾を飲んで見守ったトラウトとの緊張感のある攻防戦は生まれなかったかもしれない。ゆえに一部の識者からは新ルールの見直しの声があがっている。

 MLB公式ネットワーク『MLB Network』のラジオ番組などでコメンテーターを務めるCJ・ニトコウスキ氏は自身のツイッターに「本当に、本当に私はMLBが接戦となった9回(3点差以内)のピッチクロック廃止を心から望んでいる」と投稿。さらに「ピッチクロックはたしかに必要であり、素晴らしいものである。だが、このオオタニとトラウトの場面では、1球、1球が明らかな違反だった」と動画付きで解説した。

 このニトコウスキ氏の提案には、もれなく賛否両論が巻き起こった。しかし、同氏の考えは揺るぎない。とあるファンから「言いたいことは分かるが、WBCとメジャーリーグの長丁場は全く違う。導入するならプレーオフからだ」と指摘を受けた際には、「たしかにそうかもしれない。だが、私はレギュラーシーズンも含めて、一番大事な局面で、このルールに選手たちが足元をすくわれると思う。やはり野球の魅力を失っていくのは見たくない」と訴えている。

構成●THE DIGEST編集部

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