いよいよ3月30日(セ・リーグは31日)に2023シーズンのプロ野球が開幕する。オープン戦を終え、各チームの戦力が見えてきた。そこで、開幕前に野球ライターの西尾典文氏にペナントレースの順位を予想してもらった。
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【セ・リーグ順位予想】
1位 阪神
2位 ヤクルト
3位 巨人
4位 DeNA
5位 広島
6位 中日
6球団とも決め手に欠ける印象のセ・リーグだが、優勝候補の一番手としては阪神を推したい。今オフの目立った補強は新外国人選手とドラフトぐらいしかないが、フリーエージェント(FA)権を取得した選手が揃って残留し、戦力ダウンを免れたのは何よりの好材料だ。
とくに投手陣は、青柳晃洋、西勇輝、伊藤将司、西純矢など力のある先発投手が揃い、リリーフ陣も侍ジャパンに選ばれた湯浅京己など安定した布陣となっている。野手もリードオフマンの近本光司、中野拓夢、中軸の大山悠輔、佐藤輝明と今が旬の選手が揃う。新外国人選手やルーキーといった不確定要素の強い戦力に頼らなくても戦えるという意味では、頭ひとつ抜けている印象だ。
対抗となるのがリーグ3連覇を狙うヤクルトだ。村上宗隆、山田哲人、オスナ、サンタナという中軸は破壊力十分で、捕手の中村悠平も円熟味を増している。ただその一方で気になるのは投手陣だ。特に抑えのマクガフが抜けた穴は大きく、先発陣も決して強力とは言えない。野手が安定しているだけに下位に低迷する可能性は低そうだが、3連覇は簡単ではないだろう。
この2チームに続くのが昨年2位のDeNAと4位の巨人だが、選手層の厚さと若手の上積みを考えて巨人を3位とした。昨年は投手陣が苦しみ、今年も菅野智之が開幕ローテーションから外れることになったのは気がかりだが、ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)でも活躍した戸郷翔征を筆頭に、若手の投手陣は伸び盛りの選手が多い。また主砲の岡本和真もWBCでの経験で更にスケールアップすることが期待できる。
一方のDeNAは2020年のサイ・ヤング賞投手であるバウアーの加入による期待は大きいが、1年間のブランクの影響もあってかいきなり右肩の張りを訴えており、過剰な期待はかけづらい。また、ラミレス監督時代にも結果を残した次の年に選手の自主性を尊重して成績が低迷したことがあったが、今年のキャンプではその時に似た雰囲気が感じられるという話もある。昨年の2位から一気に優勝という声も多いが、そう簡単にはいかない可能性が高そうだ。
5位と6位は昨年と同じ並びと予想した。ともに先発投手は実績のある選手が揃っているが、広島は森浦大輔、矢崎拓也のセットアッパー2人が出遅れており、中日は開幕直前にロドリゲスが亡命したことが大きな痛手となっている。得点力向上のためには新外国人の活躍を見込みに入れなければならないというのも、他の4球団と比べて弱みのように感じられる。昨年も0.5ゲーム差と最後まで最下位を争うことになったが、打力に関してはわずかに広島がリードしていると考えてこの順位とした。
昨年はヤクルトが夏場まで独走する展開となったが、課題である投手力はまだまだ改善したとは言いづらく、前述したように守護神のマクガフが抜けたのは大きな痛手である。一方で下位と予想した広島と中日に関しても、先発投手陣は他球団と比べて力が劣るわけではなく、栗林良吏、R.マルティネスという安定した抑えがいるというのも大きな強みである。そういったことを考えても、昨年のように1球団が夏場まで独走するような展開は考えづらく、最後まで優勝およびAクラス争いは熾烈になる可能性が高いだろう。
文●西尾典文
【著者プロフィール】
にしお・のりふみ。1979年、愛知県生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。アマチュア野球を中心に年間400試合以上を取材。2017年からはスカイAのドラフト中継で解説も務め、noteでの「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも多くの選手やデータを発信している。
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【セ・リーグ順位予想】
1位 阪神
2位 ヤクルト
3位 巨人
4位 DeNA
5位 広島
6位 中日
6球団とも決め手に欠ける印象のセ・リーグだが、優勝候補の一番手としては阪神を推したい。今オフの目立った補強は新外国人選手とドラフトぐらいしかないが、フリーエージェント(FA)権を取得した選手が揃って残留し、戦力ダウンを免れたのは何よりの好材料だ。
とくに投手陣は、青柳晃洋、西勇輝、伊藤将司、西純矢など力のある先発投手が揃い、リリーフ陣も侍ジャパンに選ばれた湯浅京己など安定した布陣となっている。野手もリードオフマンの近本光司、中野拓夢、中軸の大山悠輔、佐藤輝明と今が旬の選手が揃う。新外国人選手やルーキーといった不確定要素の強い戦力に頼らなくても戦えるという意味では、頭ひとつ抜けている印象だ。
対抗となるのがリーグ3連覇を狙うヤクルトだ。村上宗隆、山田哲人、オスナ、サンタナという中軸は破壊力十分で、捕手の中村悠平も円熟味を増している。ただその一方で気になるのは投手陣だ。特に抑えのマクガフが抜けた穴は大きく、先発陣も決して強力とは言えない。野手が安定しているだけに下位に低迷する可能性は低そうだが、3連覇は簡単ではないだろう。
この2チームに続くのが昨年2位のDeNAと4位の巨人だが、選手層の厚さと若手の上積みを考えて巨人を3位とした。昨年は投手陣が苦しみ、今年も菅野智之が開幕ローテーションから外れることになったのは気がかりだが、ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)でも活躍した戸郷翔征を筆頭に、若手の投手陣は伸び盛りの選手が多い。また主砲の岡本和真もWBCでの経験で更にスケールアップすることが期待できる。
一方のDeNAは2020年のサイ・ヤング賞投手であるバウアーの加入による期待は大きいが、1年間のブランクの影響もあってかいきなり右肩の張りを訴えており、過剰な期待はかけづらい。また、ラミレス監督時代にも結果を残した次の年に選手の自主性を尊重して成績が低迷したことがあったが、今年のキャンプではその時に似た雰囲気が感じられるという話もある。昨年の2位から一気に優勝という声も多いが、そう簡単にはいかない可能性が高そうだ。
5位と6位は昨年と同じ並びと予想した。ともに先発投手は実績のある選手が揃っているが、広島は森浦大輔、矢崎拓也のセットアッパー2人が出遅れており、中日は開幕直前にロドリゲスが亡命したことが大きな痛手となっている。得点力向上のためには新外国人の活躍を見込みに入れなければならないというのも、他の4球団と比べて弱みのように感じられる。昨年も0.5ゲーム差と最後まで最下位を争うことになったが、打力に関してはわずかに広島がリードしていると考えてこの順位とした。
昨年はヤクルトが夏場まで独走する展開となったが、課題である投手力はまだまだ改善したとは言いづらく、前述したように守護神のマクガフが抜けたのは大きな痛手である。一方で下位と予想した広島と中日に関しても、先発投手陣は他球団と比べて力が劣るわけではなく、栗林良吏、R.マルティネスという安定した抑えがいるというのも大きな強みである。そういったことを考えても、昨年のように1球団が夏場まで独走するような展開は考えづらく、最後まで優勝およびAクラス争いは熾烈になる可能性が高いだろう。
文●西尾典文
【著者プロフィール】
にしお・のりふみ。1979年、愛知県生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。アマチュア野球を中心に年間400試合以上を取材。2017年からはスカイAのドラフト中継で解説も務め、noteでの「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも多くの選手やデータを発信している。
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