新ルールが原因となった退場劇が波紋を呼んでいる。

　物議を醸すのは、現地４月４日に行なわれたサンディエゴ・パドレスとアリゾナ・ダイヤモンドバックスの一戦における一コマだ。

　初回2死無塁で第1打席に立ったパドレスの主砲マニー・マチャドはフルカウントまで持ち込むと、ここで右手をあげてタイムをかける……だが、球審のロン・クルーパはこれに気付かなかった（認めなかった？）。そして、30歳のスラッガーはピッチクロックによって打者に設けられた制限時間（残り８秒）までに打席に戻らなかったとして１ストライクをコールされ、あえなく三振となったのである。

　当然、判定に納得がいかないマチャドは激昂。「俺はタイムを要求しただろ？」と言わんばかりに幾度も右手で仕草をしてみせ、クルーパ球審に食い下がる。そして暴言を吐いたとして退場を命じられてしまった。
  　結局、試合はパドレスが６対８で敗戦。マチャドの退場が小さくない影響を及ぼしたと言える。それだけに「８秒が来る前にタイムを確かに申し出た」という本人も「あそこでいなくなってしまったことでチームに迷惑をかけた」と猛省した。

　ピッチクロックが招いた初の退場劇は、選手側のタイム要求に気づけなかった球審とのコミュニケーション不足が原因ではある。だが、やはり暴言はいただけない。米野球データ会社『Codify』によれば、マチャドはクルーパ球審に「Douchebag（うざい奴、クソ野郎などを意味するスラング）」と吐いたために試合からの場外を命じられたという。

　これが明るみになると、マチャドには批判の声が上がった。SNSでは「審判はルールに従っただけだ」「暴言を吐いたら退場するのは当然だ」「30歳になるんだろ？ わきまえろ」と言った声が殺到。さらに米メディア『Sports Keeda』は「マチャドは目に見えて動揺していた。彼は落ち着くべきだったし、少なくとも『Douchebag』と言う必要は全くない」と諭した。

　開幕前からさまざまな論争を巻き起こしている「ピッチクロック」。定着に向けた周囲の反応は依然として落ち着きそうにない。

構成●THE DIGEST編集部

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