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話題沸騰中の『ChatGPT』がMLBオールタイム・ベストナインを選出も、“野球の神様”ベーブ・ルースがまさかの“落選”<SLUGGER>

筒居一孝(SLUGGER編集部)

2023.05.26

選手としての格から言えば選ばれて当たり前のルース。それがなぜ選外になってしまったのか?(C)Getty Images

選手としての格から言えば選ばれて当たり前のルース。それがなぜ選外になってしまったのか?(C)Getty Images

 全世界で話題の人工知能チャットボット『ChatGPT』。「これまでのAIの中で最も優秀な回答をする」と称賛されているこのシステムに、あるアメリカメディアがこんな質問を投げかけた。

「MLBのオールタイム・ベストナインは?」

 それに対して、AIの回答は以下の通りだ。

捕手 ジョニー・ベンチ(元レッズ)
一塁 アルバート・プーホルス(元カーディナルス他)
二塁 ジャッキー・ロビンソン(元ドジャース)
三塁 マイク・シュミット(元フィリーズ)
遊撃 デレク・ジーター(元ヤンキース)
左翼 バリー・ボンズ(元ジャイアンツ他)
中堅 ジョー・ディマジオ(元ヤンキース)
右翼 ハンク・アーロン(元ブレーブス他)
DH デビッド・オティーズ(元レッドソックス他)

先発 グレッグ・マダックス(元ブレーブス他)
抑え マリアーノ・リベラ(元ヤンキース)
 
 文句なしの選出から、議論の余地があるポジションまでさまざまだが、最も重要な人物が欠けていることにお気づきだろうか。そう、文句なしにMLB史上最高の選手であるはずのベーブ・ルースの名前がないのだ。

 ルースが入るはずだった外野では、レフトでボンズ、センターでディマジオ、ライトでアーロンが選ばれている。

 ボンズは2001年に歴代最多のシーズン73本塁打を放ち、通算762本塁打も歴代トップ。MVP受賞も歴代最多の7回を数える。だが、ステロイドの使用が色濃く疑われていて、いまだ殿堂入りも果たしていない。

 1936~51年にヤンキースで活躍したディマジオは、41年には歴代最長56試合連続安打の記録も樹立。優雅でカリスマ性あふれるプレースタイルで絶大な人気を集め、現役引退後には女優のマリリン・モンローと結婚していたことでも知られる。

 アーロンは54~76年にかけてブレーブスひと筋で活躍。74年にはルースが保持していた714本塁打のMLB記録を追い抜いたことで知られ、日本では王貞治(巨人)の超えるべき壁として有名だった。本塁打記録はボンズに追い抜かれたものの、通算2297打点は今もMLB歴代1位を誇る。

 3人はいずれも史上最高峰の選手であることには違いないが、ホームランでベースボールというスポーツを根底から変え、アメリカ史の英雄でもあるルースより上とは本来考えにくい。

 ルース落選の理由として考えられるのは、おそらくポジションではないだろうか。通算出場試合数を見ると、ルースはレフトで1047試合、ライトで1128試合とほぼ半々。「外野手」ではなく、「左翼手」「右翼手」でくくった場合は、どちらがよりふさわしいのか判然としない面もある。

 実際、ChatGPTへの質問には「それぞれのポジションにおける(at every Positon)」という文言が入っていた。ルース自体は史上最も偉大な選手でも、「左翼手ルース」「右翼手ルース」はそれぞれボンズ、アーロンの後塵を拝したということだろうか。

文●筒居一孝(SLUGGER編集部)
 
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