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【大谷翔平開幕1ヵ月診断】打っては衝撃アーチを連発、投げては被打率.102の快投。しかし、密かな“懸念材料”も<SLUGGER>

SLUGGER編集部

2023.05.02

運命のFAイヤーを迎えた大谷。投打ともにまずは順調なスタートを切った。(C)Getty Images

運命のFAイヤーを迎えた大谷。投打ともにまずは順調なスタートを切った。(C)Getty Images

 WBC優勝の興奮冷めやらぬ中、メジャー6年目を迎えた大谷翔平(エンジェルス)。開幕1ヵ月の投打の働きぶりをそれぞれ5段階で採点してみよう。

●打撃:評価★★★★☆
打数:109 打率.294 本塁打:7 打点:18 盗塁:5
出塁率:.355 長打率:.541 OPS:.897

 7本塁打はリーグ4位で、OPSも.900近く。スロースタートだった昨季とは打って変わって順調な滑り出しとなった。

 テイラー・ウォード、マイク・トラウトとの三者連続ホームラン(4月6日アスレティックス戦)、ヤンキー・スタジアム開場100周年記念日に放った打球初速188キロの弾丸アーチ(18日ヤンキース戦)、あわや2度目のサイクル安打(27日アスレティックス戦)、そして滞空時間6.98秒の超高空アーチ(30日ブルワーズ戦)など、わずか1ヵ月間でいくつも見せ場を作ったのも大谷らしい。

【動画】「オオタニは別格だ!」大谷翔平が放った最高到達点50mの“超高弾道弾”をチェック!

 今季から飛距離とアベレージの両立を目指して、チャンドラー社製のバットに変更した大谷。細かくデータを見ていくと、ハードヒット(※打球初速95マイル以上)率や最高打球初速などは相変わらずMLBトップクラスだが、ゴロ率は51.2%で、40%前後だった過去2年と比べてかなり高い。その一方で、三振率はかなり改善されている。

 まだ開幕1ヵ月でサンプル数も少ないため、これらのデータが一過性のものなのか、確かな傾向なのかの判断は早計だが、今後も注視していきたいポイントではある。
 
●投球:★★★★★
登板:6 勝-敗:4-0 投球回:34.0 防御率:1.85
奪三振:46 与四球:17 被本塁打:2 被打率:.102

 大きな飛躍を遂げた昨季をもさらに上回る快投を続けている……ように表向きは見える。

 6先発して4勝0敗、リーグ2位の46三振を奪って防御率は1.85。何より特筆すべきは被安打の少なさで、34.0投球回でわずか11本のみ。被打率.102は、シーズン最初の6先発では1916年以降ベストの数字(30回以上)だという。これを受け、「二刀流でサイ・ヤング賞獲得」という、これまた前人未到の大記録も取り沙汰されるようになってきた。

 ただ、手放しで喜べない部分もある。

 まず、不安定なコントロール。9イニング平均の与四球数は4.50で、これは規定投球回に達した両リーグ76人中ワースト7位。話題沸騰中のスイーパーが投球全体の約半分を占めるようになった影響か、制球が定まらなくなる場面が散見され、与死球数(6)や暴投(5)もリーグワーストと、お世辞にも抜群の安定感とは言えない。

 また、被打率.102という数字を維持し続けることも不可能だ。

 セイバーメトリクスでよく使われるスタッツにBABIPというものがある。これは本塁打以外のインプレー被打率のことで、タイプや力量にかかわらず、ほとんどの投手は年間.290~.300前後に収束する。だが、ここまでの大谷のBABIPは.150で、MLBで最も低い。

 これが何を意味するかというと、現時点での大谷は運に恵まれているが、いずれ“揺り戻し”が来る可能性が高い、ということだ。その時に今と同じペースで四球を出していたら防御率は一気に跳ね上がる。その意味でも、コントロールの修正は喫緊の課題と言っていい。

 そうは言っても、肉体的にも精神的にもかなりの疲労があったはずのWBCから間を置かず開幕を迎えた中で、投打でこれだけのパフォーマンスを見せるのは並大抵のことではない。本来なら健康に過ごしただけでも御の字と言っていいはずで、その意味では上々のスタートを切ったと言えるのではないだろうか。

構成●SLUGGER編集部

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