5月20日(現地)、エンジェルスは一塁手のジャレッド・ウォルシュをIL(故障者リスト)から25人ロースターに戻した。2021年に29本塁打を放ってオールスターにも選ばれたウォルシュだが、今季は開幕から「頭痛と不眠症」という、メジャーリーガーとしては珍しい理由で戦列を離れていた。
だが、実際はウォルシュの症状は「頭痛と不眠症」よりずっと深刻なものだった。『ジ・アスレティック』によると、ウォルシュはある種の神経障害に苦しんでいた。空間認識能力が奪われ、視界を定めることができない、真っすぐ歩けない、震えが止まらない……。しかも、症状が出始めたのは昨年から。つまりウォルシュは、日常生活さえ満足に送ることが難しい状況で試合に出続けていたのだ。
昨季の成績は115試合で打率.215、15本塁打、44打点。OPS(出塁率+長打率)は.642で、21年(.850)から200ポイント以上も悪化してしまっていた。一塁手としては到底物足りない数字で、メディアやファンからも批判に晒されたウォルシュだったが、神経障害の症状については誰にも明かさなかった。
「真っすぐ歩くこともできないのに、アストロズの投手たちを打ち崩すのは難しいよ」。『ジ・アスレティック』の記事でウォルシュは皮肉っぽく語っているが、偽らざる本音に違いない。 迎えた2023年、スプリング・トレーニングでは絶好調だったウォルシュだが、症状はなかなか改善されなかった。ついに、一時チームを離脱して、母が見つけてきたユタ州の医療施設の力を借りることを決意する。神経学者や神経検眼医の協力を得ながら朝8時から夕方5時まで平衡感覚を取り戻すリハビリに打ち込んだ。
懸命なリハビリの結果、徐々に症状も改善。5月12日から3Aで調整を始めると、7試合で打率.440、OPS1.176と格の違いを見せつけ、晴れてメジャーに上がってきた。
ウォルシュの欠場期間中、一塁にはブランドン・デュルーリー、ジオ・アーシェラ、ジェイク・ラムらが入っていたが、全体で打率.256/出塁率.286/長打率.390と攻撃力不足は明らかで、守備でもミスが目についた。
ここに21年当時のウォルシュが入れば、プレーオフ進出へ向けて大きな好材料となるのは間違いない。もっとも、問題はその「21年当時」の姿に戻れるかどうか。決して容易なことではないが、ウォルシュはドラフト39巡目、全体1185位指名という超下位指名からオールスター選手にまでのし上がった不屈の男。今回の病も、持ち前のガッツで克服してくれると信じたい。
構成●SLUGGER編集部
だが、実際はウォルシュの症状は「頭痛と不眠症」よりずっと深刻なものだった。『ジ・アスレティック』によると、ウォルシュはある種の神経障害に苦しんでいた。空間認識能力が奪われ、視界を定めることができない、真っすぐ歩けない、震えが止まらない……。しかも、症状が出始めたのは昨年から。つまりウォルシュは、日常生活さえ満足に送ることが難しい状況で試合に出続けていたのだ。
昨季の成績は115試合で打率.215、15本塁打、44打点。OPS(出塁率+長打率)は.642で、21年(.850)から200ポイント以上も悪化してしまっていた。一塁手としては到底物足りない数字で、メディアやファンからも批判に晒されたウォルシュだったが、神経障害の症状については誰にも明かさなかった。
「真っすぐ歩くこともできないのに、アストロズの投手たちを打ち崩すのは難しいよ」。『ジ・アスレティック』の記事でウォルシュは皮肉っぽく語っているが、偽らざる本音に違いない。 迎えた2023年、スプリング・トレーニングでは絶好調だったウォルシュだが、症状はなかなか改善されなかった。ついに、一時チームを離脱して、母が見つけてきたユタ州の医療施設の力を借りることを決意する。神経学者や神経検眼医の協力を得ながら朝8時から夕方5時まで平衡感覚を取り戻すリハビリに打ち込んだ。
懸命なリハビリの結果、徐々に症状も改善。5月12日から3Aで調整を始めると、7試合で打率.440、OPS1.176と格の違いを見せつけ、晴れてメジャーに上がってきた。
ウォルシュの欠場期間中、一塁にはブランドン・デュルーリー、ジオ・アーシェラ、ジェイク・ラムらが入っていたが、全体で打率.256/出塁率.286/長打率.390と攻撃力不足は明らかで、守備でもミスが目についた。
ここに21年当時のウォルシュが入れば、プレーオフ進出へ向けて大きな好材料となるのは間違いない。もっとも、問題はその「21年当時」の姿に戻れるかどうか。決して容易なことではないが、ウォルシュはドラフト39巡目、全体1185位指名という超下位指名からオールスター選手にまでのし上がった不屈の男。今回の病も、持ち前のガッツで克服してくれると信じたい。
構成●SLUGGER編集部
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