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「ロジンしか使っていない!」メッツのリリーフ投手が1球も投げないまま粘着物質違反でまさかの退場処分<SLUGGER>

SLUGGER編集部

2023.06.14

球審に激しく抗議するスミス(左)。だが、この直後に退場が宣告されてしまう。(C)Getty Images

球審に激しく抗議するスミス(左)。だが、この直後に退場が宣告されてしまう。(C)Getty Images

 現地6月13日のメッツ対ヤンキース戦で珍事が起きた。登板前のリリーフ投手が粘着物質検査に引っかかり、1球も投げないまま退場を宣告されてしまったのだ。

 事件が起きたのは7回。7対6とリードされていたメッツは、5番手のドリュー・スミスをマウンドへ送り出した。だが、粘着物質検査が球審によって行われたところで、スミスの登板にストップがかかる。4人の審判が順番にスミスをチェックし、メッツのバック・ショーウォルター監督、そして内野陣がマウンドに集結。何やら怪しい雰囲気が漂う中、何とスミスは退場を宣告されてしまったのだ。

 不承不承ベンチに戻りながらも納得できない様子のスミスは、この後、球場に駐在しているMLB機構の職員に両手を見せて再度の確認を求めたという。「粘着物質なんか使っていなかった。僕が使っていたのはロジンだけで、いつも同じ量だった」と潔白を主張したスミスだが、審判は「明らかに手がベタついていた」と却下している。

 メッツの選手が粘着物質使用で退場になるのは今季これで2人目だ。1人目は4月19日のドジャース戦で“摘発”されたマックス・シャーザー。この日のシャーザーは何度も審判団の検査を受けた挙句に退場が宣告された。この時も「何も使ってない。汗とロジンだけだ!」と訴えるシャーザーの主張を、球審が「検査が始まって以来、最も手が粘着している感触があった」と一刀両断した。
 
 シャーザーはあくまで自分は潔白としながらも、結局、後に科された罰金と10試合の出場停止処分を異議を申し立てずに受け入れた。だが、今回のスミスに対する退場処分にはブチギレた。「ピッチングすらしないまま退場させるのは不公平だ。ボールを投げてみなければ、回転数が上げようとしているかどうかなんて分からないのに、どうやって違反だと判断したんだ!?」。退場となったスミスも、「検査のプロセスがすごく恣意的に感じる」と審判団を批判している。

 今後、スミスにもシャーザーと同じく10試合の出場停止処分が科される見通し。処分中はロースターに新たな選手を補充できないため、メッツのブルペン陣は厳しいやり繰りを強いられることになる。ただ、異議を申し立てることも可能で、その間は処分が保留される。果たしてメッツはどのような決断を下すのだろうか。

構成●SLUGGER編集部
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