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冷蔵庫のメモに昇格の一報が...粋なサプライズでメジャーデビューした21年ドラフト全体1位捕手が鮮烈デビュー<SLUGGER>

SLUGGER編集部

2023.06.20

本拠地のファンが見守る中、メジャー初打席初安打を放ったデービス。前評判通りの強烈なスウィングだった。(C)Getty Images

本拠地のファンが見守る中、メジャー初打席初安打を放ったデービス。前評判通りの強烈なスウィングだった。(C)Getty Images

 地区首位を争うなど、今季思わぬ健闘を見せているパイレーツから、また一つ明るいニュースが飛び込んできた。現地6月19日、球団トップ有望株の捕手ヘンリー・デービスを初めてメジャー昇格させたのだ。

 ルイビル大時代に「大学球界最高の打者」との評価を受けていたデービスは、2021年ドラフト全体1位でパイレーツに入団。同じ大学出身のウィル・スミス(ドジャース)並みの「攻撃型捕手」になれると期待を一身に集めた。

 だが、プロでは思わぬ挫折も味わった。課題のキャッチングの課題がなかなか改善されず、捕手よりも外野での出場が増加。それによって、プロスペクトとしての評価も下落してしまった。

 死球禍による故障の多さにも苦しんだ。バッティンググラブをつけず、腰をかがめてホームベースに覆いかぶさる独特の打撃フォームが災いし、22年にはマイナー59試合で20死球も当てられ、左手首を骨折して長期欠場に追い込まれた。

 だが、今季は自慢の打撃でアピールに成功。22年は2A昇格後に苦しんだが、今季は確実にボールを捉えて右に左に長打を連発し、41試合で10本塁打、OPS.981。6月頭に3Aへ昇格した後も勢いは止まらず、10試合でOPS.974と打ちまくった。
 
 課題克服にも成果があった。今季からややホームから離れた位置に立つようになって死球が減少し、外野守備で自慢の強肩を発揮。パイレーツ打線は昇格時点でリーグワースト4位タイの300得点と停滞しており、デービスは打線の起爆剤として期待されている。

 デービスへ昇格へ告げるにあたり、3Aのミゲル・ペレス監督はサプライズを演出。監督室でデービスと話をしている最中に「冷蔵庫からミネラルウォーターを取ってきて」と指示。冷蔵庫には「Welcome to the Show(メジャーへようこそ)」と書かれたメモが貼ってあったのだが、当初デービスはこれに気づかず。監督は仕方なく苦笑いしながらメモを指し示し、デービスは喜びのあまり絶句してから、監督と固いハグを交わした。

 待望のメジャー昇格を果たしたデービスは、19日のカブス戦に7番・捕手で先発出場し。本拠地PNCパークのファンが総立ちで迎えた3回の初打席では、際どいボール球をことごとく選んでフルカウントに持ち込むなど優れた選球眼を披露してから、最後は強烈なフルスウィング。打球は三塁線を破る強烈な二塁打となり、万雷の拍手の中でメジャーでの第一歩を刻んだ。

構成●SLUGGER編集部
 
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