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プロ野球

最多勝&新人王へひた走るオリックスの“超新星”山下舜平大。バウアーのYouTubeにハマる若き右腕の素顔【オリ熱コラム2023】

どら増田

2023.06.29

プロ初登板で開幕投手を務めるという異例のデビューを果たした山下。新人王へ向け、順調にひた走っている。写真:産経新聞社

プロ初登板で開幕投手を務めるという異例のデビューを果たした山下。新人王へ向け、順調にひた走っている。写真:産経新聞社

 オリックスの山下舜平大が28日のロッテ戦に先発し、ハーラートップの7勝目を挙げた。

 序盤からピンチを作るも何とか切り抜け、最終的には6回を投げて5安打4四球無失点にまとめた。昨季までの2年間は一軍未登板だった山下だが、今季いきなり開幕投手に抜擢されるという異例のプロデビュー。ここまで登板間隔を調整しながら9試合に先発して7勝1敗、防御率1.51と好投し、新人王最有力候補に挙げられている。

 持ち球は190センチの長身から投じる150キロ台後半のストレートと空振りが取れるカーブ、そしてプロに入ってから磨いたフォークの3種類だけだが、「どのチームも一人一人違うので、真っすぐに強い方もいれば、カーブに強い方もいるので、いつでもその3種類で勝負できるのが一番強いと思う」と、どの球種にも自信を持っている。

 キャンプで野茂英雄氏から伝授されたフォークについては「カーブで押せる時でもフォークがうまく決まったりしているので、そういうところで、カーブと真っすぐを生かす意味でもフォークをを重要視しています」とコメント。細かい部分の微調整も含め、より精度を高めるために平井正史投手コーチと話し合いながら「握りからいろいろ試しながらやってます」とさらに磨きをかけている。

 28日の試合について本人はこう話している。「何とかゼロで粘れたところは良かったと思いますが、立ち上がりからバランスが安定せずに、終始苦しいピッチングになってしまいました。三者凡退のイニングも1回しかありませんでしたし、もっと長いイニングを投げられるように、次に生かしたいと思います」。反省しながらも、すぐ切り替えられることも山下の強みと言っていいだろう。
 また、日頃の調整は「リカバリーに当てる時間も大事なので、そこに結構時間を費やしている」そうで「自分のやりたいことをトレーナーに伝えて、トレーナーさんと話し合いながらやっています」とコンディション維持への意識も高い。

 普段の生活では、中学時代からファンだというメジャーリーグのYouTubeをよく見ているそう。好きな選手は「いっぱいいるんですけど、王道というか、分かりやすく(ジェイコブ・)デグロムとか。一番見ますね。えぐいっす。普通にえぐいっす」とサイ・ヤング賞2度の好投手の名を挙げた。

 また、直接対決では敗れてしまったが、横浜DeNAのトレバー・バウアーのYouTubeチャンネルの登録者であることも公言。「おもろいんで。普通に気になることばかりやっているので、よく見ています。野球を本当に心から楽しんでいる感じなので。最高だなと思っています。(トレーニングに)こういうメニューがあるんだというのは感じますし。どういう生活しているかとかも分かるんで」とメジャーの選手からも吸収できるところはしていきたいようだ。

 このまま2ケタ勝利を挙げれば、近未来のエースへの機運が高まるのは言うまでもない。中嶋聡監督は「勝ち負けを考えずに投げてもらいたい」と山下にプレッシャーをかけない配慮を見せており、昨年の日本シリーズに帯同させたのも将来を見据えての狙いがあったと思われる。エース山本由伸、宮城大弥のWBC出場で今季開幕に間に合わないことを睨んでいたのであれば、さすがである。

“ペータ”の愛称も定着してきたオリックスの超新星・山下舜平大。今後は、日本にとどまらず世界が注目する投手に成長していくはずだ。

取材・文●どら増田

【著者プロフィール】
どらますだ/1973年生まれ。プロ野球では主にオリックスを取材し、週刊ベースボールの他、数々のウェブ媒体でも執筆している。書籍『ベースボールサミット 第9回 特集オリックス・バファローズ』(カンゼン)ではメインライターを務めた。プロレス、格闘技も取材しており、山本由伸と那須川天心の“神童”対談を実現させたことも。
 
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