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MLB

「走攻守」のうち「打」は合格点でも「走」と「守」に難あり――吉田正尚がオールスター選出から漏れた理由<SLUGGER>

SLUGGER編集部

2023.07.03

ここまで打率、出塁率、OPSでリーグトップ10入り。打撃は十分合格点の吉田だが......(C)Getty Images

ここまで打率、出塁率、OPSでリーグトップ10入り。打撃は十分合格点の吉田だが......(C)Getty Images

 7月2日(現地)、2023年のオールスター・ゲームの全出場選手が発表された。残念ながら、吉田正尚(レッドソックス)の名前はそこにはなかった。

 なぜ吉田はオールスター選出から漏れてしまったのだろうか?

 まずここで、吉田の現時点での打撃成績をおさらいしておこう。打率.305と出塁率.377はいずれもリーグ6位、OPS(出塁率+長打率).854は10位。打撃成績だけなら、十分オールスター級の数字と言っていい。

 だが一方で、守備と走塁での貢献度は平均を下回っている。

 まず守備面から見ていこう。そのポジションの平均的な選手と比べてどれだけ多く失点を阻止したかを示す指標DRSでは、ここまで-5と低迷。これはレフトで300イニング以上出場した選手では、両リーグ24選手中21番目の数字だ。

 それ以上に以外なのが走塁面での苦戦だ。

 選手の走塁能力を判断するためのBsRという指標がある。盗塁やベースランニングでの貢献度を得点換算したもので、BsR3.2の選手は平均と比べて走塁で3.2点多く得点を生み出したことを意味する。このBsRで、吉田は何と-2.9。規定打席以上のア・リーグの外野手でワーストの数字である。
 
 野手に求められる能力として「走攻守」という言葉があるが、ここまでの吉田は、少なくともデータの上では「攻」は〇、「走」と「守」は×という結果になっている。

 ちなみに、外野手部門では選ばれたのは以下の7人。

マイク・トラウト(エンジェルス)★
アーロン・ジャッジ(ヤンキース)★
ランディ・アロザレーナ(レイズ)★
ヨーダン・アルバレス(アストロズ)
アドリス・ガルシア(レンジャーズ)
オースティン・ヘイズ(オリオールズ)
ルイス・ロバートJr.(ホワイトソックス)
※★=ファン投票による選出

 このうち、ジャッジは故障のため出場辞退が濃厚。通常なら、外野手で代替メンバーが補充されるが、ここでも吉田が選ばれる可能性は低いと言わざるを得ない。

 地元マリナーズのフリオ・ロドリゲスやレンジャーズの韋駄天レオディ・タベラス、昨季30本塁打&25盗塁を達成したカイル・タッカー(アストロズ)、そして吉田のチームメイトでもあるアレックス・バーデューゴ(レッドソックス)。この4人はいずれも、走攻守のバランスで吉田よりも秀でており、全体の貢献度も上回っている。

 スプリング・トレーニング開始早々にWBC日本代表に合流した吉田。言わばぶっつけ本番でメジャー1年目に突入したことを思えば、ここまでの打撃は素晴らしいの一言に尽きる。仮にオールスターに出場できなかったとしても、前半戦の働きぶりは十分合格点だった。球宴休みはしっかり休養に充てて、後半戦に備えてほしい。

構成●SLUGGER編集部

 
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