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士気の低下に補強戦略の修正、大谷トレードの可能性も加速?...トラウトの故障離脱がエンジェルスに与える影響<SLUGGER>

SLUGGER編集部

2023.07.05

あまりにも痛いトラウトの故障離脱。全治4~8週間と診断されている。(C)Getty Images

 7月3日(現地)のパドレス戦で途中退場したマイク・トラウト(エンジェルス)が左手有鈎骨骨折と診断され、IL(故障者リスト)に入った。気になる復帰時期だが、過去にはホゼ・ラミレス(ガーディアンズ)が4週間で戦線に戻った例もあるものの、通常は6~8週間を要するケースが多いという。

 いずれにせよ、主砲の離脱がエンジェルスにとって大打撃であることに違いはない。今回のトラウトの故障が今後チームにどんな影響を与えるのか、3つのポイントに分けて考えていきたい。

①精神的支柱の離脱による士気の低下
 チーム生え抜きでMVP受賞3度、今年も含めてオールスター選出11回を誇るトラウトは、言うまでもなくエンジェルスの精神的支柱だ。今季は大谷翔平の活躍の方が目立っているとはいえ、フランチャイズ全体への影響度に関してはトラウトに軍配が上がると言っていいだろう。

 そんな選手がこの大事な時期に戦線離脱してしまったことのショックは計り知れない。すでにエンジェルスはローガン・オホッピーとジオ・アーシェラが今季絶望、ザック・ネト、ブランドン・デュルーリーもIL入りと故障者続出の状況だが、今回のトラウトの離脱の影響はその比ではない。
 フィル・ネビン監督は「誰も私たちを憐れんではくれない」と語るが、残った選手たちが奮起できるかどうか。

②ジョー・アデルの放出はなくなった?
 8月1日のトレード・デッドラインへ向け、エンジェルスは投手陣の補強に動くとみられていた。

 先発陣は大谷に続く2番手以降が物足りず、ブルペンもマット・ムーアらの故障離脱で何とかギリギリ持ちこたえている状況。9年ぶりのプレーオフ進出のためには、先発、ブルペン両面での底上げが必要不可欠だった。

 そして、有力投手を獲得するための駒になると思われたのがジョー・アデルだった。球界屈指のトップ・プロスペクト、次代のスーパースター候補として20年に華々しくデビューしたアデルだったが、攻守に力不足を露呈し、今季は3Aで開幕を迎えた。その間に同じく若手のミッキー・モニアックが台頭。「アデルをトレード要員にするべき」という声が次第に高まっていた。

 だが、今回のトラウトの故障離脱でその目算は大きく狂ってしまった。アデルをトラウトの穴埋めとして起用せざるを得なくなったからだ。